かさぱのすとちぱの
雑 記(Private log)



夢中暦200401.19

 なんだか忙しくて、バタバタと落ち着きのない年末年始だったのだが、2004年最初の雑記は、食べ物の話題で始めることにする。
 とはいえそれは、「主食」や「おかず」でもなく、さりとて「おやつ」にしてはボリュームがある食べ物・・・・・「いか焼き」である。 ただし関西人が言うところの「イカ焼き」であり、決してその他地方の多くの方がイメージする「イカの姿焼き」ではない。
 京都には古く「おむしやしない」という単語(ほぼ死語)があるが、ワタシにとってはまさにこの「いか焼き」というのはワタシにとって、「たこ焼き」に並ぶ充分な「おむしやしない」であった(「オムシヤシナイ」:「腹の虫を養う」という言葉に由来するものだろう。「小腹が空いた、ちょっとしたものを口にしたい」ときに使用する単語である)。
 この「いか焼き」を焼いてくれる店を、ワタシが千葉県市川市内、それも我が家の近所に発見したのは去年のことだった。 関西(特に大阪)以外ではこれを商売にしている店はあまりに少ない(その関西においても、たこ焼きの屋台やお好み焼き屋さんの数ほど街中で見掛けられるものではない)。 材料は極めてお手軽ではあるものの、家庭で作るお手軽に作ることの出来るたこ焼きやお好み焼きと違って、これはお店で購入する食べ物である(個人的には、大阪梅田の某デパ地下のテナントのものに馴染みがある)。 圧倒的火力で熱した鉄板を上下から挟み込んで作るため、大きなプレス機とも言うべき専用の「焼き器」が必要なのである。 関西でもたこ焼きやお好み焼きほどの隆盛を誇れないのは、この点に問題があったのである。

 その店「M」は、たこ焼きをメインにしていたのだが、大きな看板にはたこ焼き以外に、「いか焼き350円」と書かれていた。 ここは関東である。 当然「いかの姿焼き」を指しているのだろうとは思ったが、看板には小さいながらも「関西風」と書かれていた。 そしてガラス張りの厨房には、大阪で見覚えのある、取っ手の付いた大きな四角い金属製のプレス機がある・・・・・恐る恐る、店番の兄ちゃんに聞いてみた・・・・・

 「あのぉ・・・「いか焼き」っていうのは、その、いわゆる『大阪のアレ』ですか??」
 「・・・・ハイ。そうです」
 「!!!!・・・・ふたつくださいっ!!」

 ・・・・・兄ちゃんの返事を聞くが早いか即答で注文した(!)。 東京で働くようになったこの数年間、一度も口にすることが出来なかった「いか焼き」! 記憶の底から蘇る、その焼き方。 手際の良い兄ちゃんの手による「いか焼き」は美味かった。 関東人の細君には、見るも聞くも初めての食べ物であったが、好評であった。
 それ以来、何度か折りを見ては買って食べていたのだが(・・・・しょっちゅう立て続けに食べられるようなモノでもないからだ。「大阪名物」と呼ばれるものには、1つ2つ食べるには良いが、3つ以上食べると胸焼けするようなシロモノが少なくないと思う(!))、先日、(なぜか)近所の模型店で得られた情報によると、その「M」は昨年11月だかに店を畳んでしまったという(!!)。 なんでも、「店舗を構えて商売するよりも、あちこちを巡業して歩く屋台の方が儲かる」らしい(「親分さん」にショバ代を支払っても!)。 そう言えばいつだったか我が細君も、「M」に行ったらシャッターが下りたままになっていたと言っていた。 当サイトでもBBSでは話題にしたのだが、もっと世の中に宣伝すべきだったかと悔やまれる(しかし当の「M」も、看板に「いか焼き」と書いただけでは宣伝不足だったぞ。ほとんどの市川市民は「イカの姿焼き」をイメージしたのだろうから)。

 ショックである。 もうここでは、いか焼きが食べられない! こうなったら、いか焼き器を購入するほかない・・・・・!!
 そう考えた私は、その日のうちにweb上で家庭用いか焼き器を販売しているサイトを検索、そしてすぐに注文してしまった・・・・・家計費で!!

 以下は「自家製いか焼き」の奮闘記である。
 (↑べつに「イカ」と「以下」を引っ掛けて、ウマイと思っているわけではない。さらに、ページの作り方が「市川探検隊シリーズ」と同じになってしまった。確かにこれはワタシにとって、一種の「探検」であった)

注文した翌々日に早くも届けられた「いか焼き器」。
本体価格\3600也(高いか安いか!?)。
それ自体にかなりの重さ(3kg+α)があるが、
上下の鉄板を腕力を以ってプレスし、
取っ手末端の金具で固定できるようになっている。
原理は業務用と同じである。
「タネ」である。
ワタシは薄力粉に粒状だしの素を加え、粉と同量の水で溶いた。
イカはスーパーで売られていた「生するめいか下足」。
油を敷いて熱した鉄板の上に卵を割り、
そこへこの「ネタ」もぶちまけるわけである。
卵とネタをあまりよく掻き混ぜてはいけない(←要点)。

一回目の調理。
大阪のいか焼き屋のオバチャンがやっていた様子、
幼少の頃からの記憶を思い出しながら思いっきりプレス!
端から溢れて来た!
・・・・載せ過ぎだ。
鉄板の縁には小さな「返し」が付いてはいるものの、
コンロが大変なことになってしまった!
傍で見ている細君も苦虫を噛んだような顔だ。
一回目の調理。
なんだコレは。
グチャグチャになってしまったのは、
勢いのあまり、最初に油を敷くのを忘れていたからである。
とりあえず「お好み焼きソース」をかけて食べてみた。
・・・・・・おお、
いか焼きやっ!
見た目はともかく、あの味である!

二回目の調理。
さっきよりも更に溢れて来た!
イカも飛び出して来た!

・・・・やはり載せ過ぎだ。
家庭用の鉄板は小さいので、
お店でやっていた要領と勢いでやると
コンロがますます大変なことになってしまった!
傍で見ている細君も怒り出した。
半分ぐらいはカタチになったぞ。
「お好みソース」は便利である。
・・・・・おお、
いか焼きやっ!
カタチはともかく味に間違いはない。
なにくそ!
次こそは分量を少なくして養生してやる。

そして三回目の正直調理。
欲張って、イカも大きく切り過ぎていたのだ。
鉄板に載せる分量を極端に減らした結果、
カタチの生成にも成功した。
でも、もう胃モタレしそうだ。
この日の夕食は結局、「いか焼き定食」。
お茶漬けサラサラ。
ぜんぜん関係ないが、我が家の特殊な食事風景をもうひとつ。
題して「囚人食の日」。
(ほんとにムショのメシがこんなモノか知らん!イメージです)
ある日100円ショップで購入したアルミのランチプレートに、
ある日は「カレー」「ライス」「ポテト&マカロニサラダ」を載せた。
こうした異常なディナーを家庭に持ち込むことにより、
(奥さんが好むと好まざるとにかかわらず!)
日常に非日常を持ちこむ事ができ、人生が楽しくなる(か!?)。

 ・・・・・それにしても、
 「プレスした鉄板の間から這い出して来て、
 炎の中からこちらに飛びかかって来るイカの切り身」

 ・・・・というものには、恐怖を覚えた(!)。 まさにイカファイア、イカデビル。 知能も視力も恐るべき高さ、運動性能もバツグンの烏賊を侮ってはいけない。 ご家庭では、くれぐれも分量をよく考えて調理していただきたい。 当サイトでは特に、フィンランドで開業しようとされる方を応援するぞ!

 さて因みに、本当の「いか焼き」がどんなものなのかは、「いか焼き本舗」さん(「イカヤキ・ドットコム」ってスゴイな)や「いか焼き牧野」さん(実際に「いか焼き屋さん」である)で詳しく解説されている(ワタシもこちらで材料や作り方を参考にさせていただいた)。  (か)


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