かさぱのすとちぱの
雑 記(Private log)



家長私的記録 夢中暦200311.13

 いつぞやの秋葉原R会館7階のエレベータホール。 ワタシは「一服」したくなり灰皿へ向かった(この、灰皿の設置してあるR会館のエレベータホールというのは喫煙モデラー/コレクター/おたく族にとって、千代田区内に残された「町の最後の砦」のような気がして仕方がない(!))。 そこにはエレベータを待っているのではなく、単にタバコを吸いにそこに佇んでいる男がすでにひとり。 ワタシとほぼ同世代の細身で長身の男。 長髪を後に束ねてバンダナを締め、まるで「1970年代後半からタイムスリップしてしまい、途方にくれているロック青年」といったイデタチ(!)。 つまるところ、言うまでもなく「オ・タ・ク」の世間一般大衆的なイメージを絵に描いたような風貌である(。。。ひとのことは言えない。ワタシもその当時の格好と言えば、キャップを目深に被り、両手に紙袋を2つもぶらさげていたのだから!よっ、現役のヲタク!)。

 さて、ワタシもタバコを一本、そしてZIPPOのライターもポケットから取り出した。 ライターを擦る。着火しない。擦る。着火しない。擦る。着火しない。。。shiiiit!オイル切れかっ! ポケットをまさぐって見たものの、あいにく今日は予備の100円ライターを会社に置いてきてしまった。
 「しょーがねー。誰かに火を借りるか」、と思った次の瞬間!。。。くわえたままのワタシのタバコの先端を、火が横切った。
 なんと、なにも言わないうちに例の「タイムスリップ兄ちゃん」が、火を付けた自分のZIPPOを差し出してくれたのだった。。。!

 驚いた。 (それで良い場合と、寂しい場合があるが)他人との人間関係が希薄なこの現代社会、あまつさえ根本的に「個人主義的・自己言及/自己完結的趣味人」が集うこんな場所(!)において、このような「見知らぬ他人への、なにげない心配り」を受けたのは感動的であった(エレベータ前で待つ「タバコ嫌いな人」への心配りはないのか!!・・・という、厭煙家の声もあろうが(!))
 ありていに言えば、「他人を見た目で判断してはいけない」ことを絵に描いたような出来事だった。
 彼が単に心優しい青年だったのか、R会館の7階という(特殊な!)場所で出会ったワタシに対して、「オトモダチ!」と共感したかどうかは知る由も無いが、彼の行動は、男の純粋な心意気を久しぶりに感じさせてくれた。 火を差し出されてワタシは咄嗟に同世代の彼に対し一言「ああ、スマン!」としか言うことが出来なかったが、「ありがとう!」の気持ちで胸はいっぱいだった。

 a)「コンバット!」で鬼軍曹サンダースが、タバコをくわえた悩める新兵にそっと差し出すライターであるとか
 b)「さらば友よ」ラストシーンで、我らがブロンソンにA・ドロンが差し出すマッチの火であるとか
 c)ラップランドの大雪原を犬ゾリで駆け巡った後、ワタシが差し出した火で呑むタバコに満足そうな現地の男の姿であるとか

 。。。そんな「男気のタバコとライター」を感じることが出来る瞬間が、(子供じみていても)単純にカッコイイと思った。 タバコを吸う男がこの世から、文字通り「綺麗さっぱり清潔・健康的に」絶滅してしまう日が来るのだろうか。

 先日、タバコの自動販売機の中に異様な「ラッキー・ストライク」があるのを発見。 通常のものより長さが短いワリに1箱350円もする(現在通常のものは1箱300円)。 それは1916年製造当時のレシピを基に味付けされた「復刻版」とのことであり、パッケデザインも当時の「緑地に金縁赤丸」ではないか(1942年以降は現在と同じ白地のパッケとなる)。 ワタシは初めてタバコを吸い始めて以来、280円に値上がりするまではラッキーの愛煙家だった。  「資料」にもなる(?)。 思わずゲット。。。!
 「値上げしても・禁煙しないバカが・独り居り」と、思わず一句呟いた。。。

(現在ワタシが通勤電車のお供にしている愛読書は、「禁煙の愉しみ」(著者:山村修。新潮OH!文庫)。 決してワタシが禁煙を誓おうと考えてこんな本を読み出したのではなく、著者の「健康のためや社会的圧力のために禁煙したのではなく」とか、「禁煙の愉しみは喫煙者にも厭煙家にもわからない快楽」とか、「とにかく禁煙が面白くて仕方がない」というスタンスが面白い。喫煙者側にも厭煙家側にも立っていない。タバコの好き嫌いにかかわらず、ぜひご一読あれ(頼まれもしないのに、ワタシがこういう風に本を宣伝するのも珍しい!))(か)
ラッキーストライク・1916オリジナルブレンド。1箱350円也。
白を基調としたパッケ(1942年以降現在に至る)以前のデザインだ。
(ワタシがソ連戦車によく塗るグリーンと同じ色調ではないか!)
日本とフランスでのみ発売されているとのこと。

ところで、ヒゲなしブロンソン映画「バルジ大作戦」でも
出演者が劇中で緑色のラッキーを吸っていたが、
1944年にはすでに、白いパッケだったはずでは。。。?
両切サイズだが、「復刻版」ではフィルタが付いている。
(つまりフィルタをちぎって吸えば「リアル」な味に?)

持ち方はやはり、こうだろう(敵に灯を見せない)。
なぁ、マルコム(最近のお気に入り壁紙)。

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