ブルーステルBW-393号機の撃墜マーク
〜〜〜最終章(!)〜〜〜

古い古いビールのラベルを探して早幾年、
探し物はついに見つかることとなったのである!



 このページを書き始めて以来、渡芬した折りにはフリマや骨董品市場で必ずビールのラベルを物色し、また思い出しては某海外オークションサイトで探していたのだが、いつまで経っても、「lahden erikois レベルI」のラベルだけは出品されていなかった(単に見落としていただけかも知れないが)。
 「エリコイス」銘柄のボトルorラベルを手に入れること(だけ)に躍起になり、アルコール度数(レベルI〜IV)による色の違いにまで気がついていなかった(単なる早合点の)我々取材班だったが、今や目標は「レベルI」のみである!
 まぁもっとも、主に検索していたのは我が家のオークションの先生:細君である。 細君が時折、「見つけたよっ!」「エリコイス出品キタっ!」と(勝ち誇ったように)報告してきても、「このラベルはなぁ・・・・・違う」と答えるばかりの日が続いていた。

 web上でエリコイスのラベルデザインを探したり、オークションの出品を見ていて気がついたことは次の一点に尽きる。 つまり:「エリコイスのバリエーション、あり過ぎ!」である。
 試しにe-bayなどで、「erikois」とか「finnish+beer」とかいうキーワードで検索してご覧いただいてもいいのだが、(前項にて示した)緑色を基調とした「レベルIII」のもの以外に、その銘柄や色調はもちろんのこと、ラベルの形状にまで何種類かのバリエーションがあるのである(もちろんそれ以外に「エリコイスに似たようなデザイン」も、うじゃうじゃ存在する)。 本項で懸案とするラベルに該当しないので無視していいが、「小判型」形状だけでもなかったのである。

 例えばある時ワタシはヘルシンキ市内の骨董市場(@ヒエタラハティ)で、「形状が小判型でない」タイプを目撃した(左写真)。

 同じラハデンのエリコイスであるにもかかわらず、配色が違うばかりか、「四角い」ものまであったのだ!(因みに写真の酒種別は、「レベルIV」の「A」。アルコール度数以外に何が違うのかよくわからん)

 ラベル・コレクターにとっては垂涎モノなのかどうか知らないが、単に「撃墜マークの色を確認したいだけ」という「異端者」の(!)ワタシにとってはまったく価値が見出せないばかりか、混乱を来すばかりの存在である。




 その後も「レベルI」ラベル捜索の日々は、人知れず続いていた。
 ある時は、ラップランドの旅を記したとある個人のホームページ上の写真に慄然としたことがある。 なんと「ホテッリ・イナリ」のバーには骨董ビールが沢山コレクションされているという記述とともに、「どう見てもラハデン・エリコイス」が陳列されている写真を、そこに見たのである! ホテッリ・イナリなら場所もよく知っている。 我が家でも宿泊予約を問い合わせたこともある(ついに返事が来なかったので(!)それ以来、別のホテルを愛用している(というかイナリにホテルは2軒しかないのだが!))。 件のホテルの中には入ったことがなかったことが惜しまれた。 再びイナリを訪れた際には、(酒の飲めないワタシだが)間違いなくバーに入ってみようと思った。
 冬のイナリに魅了されていた我々取材班は、数年後再び訪れたその地で、ついに、バーに入ったのである!

 ・・・・・改装されていた。

 かつてホームページで見た写真とはまるで異なり、骨董品ビールなど、もはやそこには並んでいなかった。
ビールのラベルを探して北極圏までやって来たのに・・・。
もはやこれまでか・・・!
と、誰もがあきらめかけていた、おりしもその時!!


 数年のブランクを経て再び活動を始めた「河馬之巣」かば◎氏が、本コンテンツへの当サイト内のリンク工事不良を指摘してくれたお蔭で、事態は急変した。

 まさしく「LAHDEN ERIKOIS-I」のラベルを、簡単且つ安く、入手できるルートを紹介してくれたのである!!
 紹介されたリンク先の古書を扱うフィンランドの企業「menec」に、一も二もなく、早速問い合わせた(e-bayではないが自社サイトで「buy it now!」方式で出品していたのである。思わずポチッと購入ボタンを押してしまった)。 すぐにやってきたメールがフィンランド語だったので、「英語で言うてくれ」と聞き返すと、要は「本体(たったの)3ユーロと送料3ユーロ、合計6ユーロでOK」というじゃないか。 買わいでか!

そして数日後(早い!)、
ついに我が手中に収めた
「LAHDEN ERIKOIS-I」のラベルが
・・・これだっ!↓


 1942年11月の写真撮影から67年目・・・黒地に赤い帯、金の縁取り・・・美しい・・・こういう色だったのか・・・。

 ようやく安堵の笑顔をもって、追い求めていたラベルのデザインや色調を、実際に自分の手に取って確認することができた。

 長い探求の旅だった。

 しかし遂に、これで心置きなく、往時のBW-393号機が再現できる。

 「こんな色でいいんだろうか?」などと、モヤモヤ思わずに模型が作れるようになったわけである(だったら、早く作れよ!)。

 おりしもチェコのSpecial Hobbyが(前々回紹介したClassic Airflame社1/48スケールに続き調子に乗って?)発売した、1/32スケールのバッファロー/フィンランド空軍仕様に付属するデカールが、これである(左写真。提供はクルーガ氏。Kiitksia!偉いなぁ、買ったのか・・・ウチはもぉ、デカいキットは置く場所ないよ(~~;))。

 1942年秋のルーッカネン隊長機:BW-393を再現するデカールがこのキットにもセットされているのだが、クラエアの1/48(これまた基本的な配色が間違っていない)よりも更に精密に、且つ正確に撃墜マークが再現されている。

 クラエアやスペホビのスタッフがこれらデカールの開発に当たり、どうやってマーキングの色を確認したのか興味深いところだが、素晴らしい。 いや、むしろ恐るべき考証力のメーカーである。 多少キットにチョンボがあっても、もぉ許しちゃう!(←それで許しちゃうのか?)

こうして、ようやく我々取材班に、
平和な日々が戻ってきた。

これにて・・・調査、完了!
(ヤッター!当サイトの「考察」コーナーが初めて「続く(?)」で終わらなかった瞬間!)



※ 主な参考・引用資料


「BW-393の撃墜マーク:phase3」に戻る
「BW-393の撃墜マーク:phase2」に戻る
「BW-393の撃墜マーク:phase1」に戻る
「空軍編」に戻る
「大物産展」に戻る