ヴィッカース6t戦車(Ps.161-7)

戦前の英国ヴィッカース・アームストロング社製のベストセラー戦車。世界各国が輸入・装備しましたが、フィンランドもそのひとつです。
なおフィンランドでは「ヴィッケルス」と(なまって)呼んでいます。
因みにソ連のT-26軽戦車は、このヴィッカース6t軽戦車のコピーであり、そのT-26軽戦車も冬戦争中と継続戦争中に大量に捕獲され、フィンランド軍に使用されました。
オリジナルの6t戦車はプトー37mm戦車砲を装備していましたが、その余りの非力さから、フィンランド軍はボフォース37mm砲に換装しました。さらにこれらのヴィッケルスも、後に主砲を、捕獲したT-26からもぎ取ってきた45mm戦車砲に基部ごと換装して火力を一層強化、フィンランドで独自に「T-26E」と呼称しています(ヴィッケルス/T-26Eの写真と解説をご参照ください)。





戦車博物館のヴィッケルスのうちの1輌(Ps.161-7)。現在、これだけはハシゴをつけて、ハッキリと「昇って触って見てください」と言っています。
戦車に何も思い入れのない、ある女性の感想:「戦車ってちっちゃいのね!」。。。ナメてかかってます。奥さんや彼女を戦車博物館に連れて行かれる時は、まずデッカイ戦車から先に見せて、圧倒させた方がいいようです。。




右から。砲塔の白青のストライプは、冬戦争当時の国籍表示を再現したものです。見た目には美しいのですが、実戦ではさぞ目立ちすぎたことでしょう。




正面。




後面。




右側面。




右側前部。操縦手ハッチは「ペラペラ」とは表現しませんが、かなり薄くて怖い。これに乗って戦争するのは勘弁してくれ!という印象が残ります。




車体前部左側ピストルポート付近。ここからスオミ短機関銃を突き出して射撃します。またリベットが、場所によってマイナスネジと併用になっているのにも注意。




車体前部左側。この車両の登録番号「164-」が刻印された、小さな金属板が溶接されていますが、博物館の車両すべてにとりつけられているので、(戦時中に施されたのではなく)館の管理用に付けられたものかもしれません。
最前列のリベットが、最上段を除いて六角ボルトになっています。また最上段前から2つ目のリベットが被弾して半分つぶれています。生々しい。




主砲砲盾。




砲盾基部左側。基部最後列はマイナスネジになっています。




主砲砲口。マズルブレーキの穴は(全周囲でなく)両側面のみ。搭載されているのはボフォース37mm対戦車砲です。




砲盾上面。




砲塔上面前部。両端の穴はペリスコープを装備する穴。




砲塔上面中央〜後部。車長ハッチのヒンジは錆びていたせいもありますが、なんと重いこと(結局開けられなかった)!後側のハッチを開けてから前方のハッチを開ける構造になっています(つまり前のハッチを閉めてからでないと、後のハッチで密閉されない。ダイオラマ製作時の注意です)。




なんとかカメラを突っ込んでみましたが。。。(画面左側が前方になります)。37mm戦車砲の砲尾です。




左前部の転輪ボギー。画面左側は2つともゴムリム付き転輪、右側は2つともゴム製転輪。ややこし。




そのゴム製転輪。かなりグズグズになっていますが、よく残っています。




一部には鋼製転輪も混用されています。




車体後部左側。誘導輪基部付近。




車体右側後部のフェンダーとの接合部付近。誘導輪調整装置の上端がみえています。手前の筒は尾灯のライトガードです。




車体後部を左側より。排気マフラーが外れているので、固定金具のつくりや、大型バンパーのつくりがよくわかります。




おなじく車体後部を右側より。




本家本元オリジナルのヴィッカース6t戦車に搭載されていた(非力な)、プトー37mm戦車砲が、別途屋内展示されています。T-26Eに改装する際に取り外したものです。


「ヴぃっけるす改(T-26E)」も見る?

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