フォッケルD21のスロットについて 投稿者:通りすがり
投稿日: 1月 9日(金)23時05分9秒
サーフしていて、たまたまたどり着いてしまいました。
私も北欧空戦史を読んで以来、フィンランドのファンです。
とても美しい写真が多く、フィンランドへの思い入れが伝わります。 現地で現物を見ていらっしゃるとは実にうらやましいですね。
私は学生時代、グライダーにはまって、自家用操縦士と整備士の資格を取りました。
で、半分玄人位の域だとは思うのですが。少しばかり薀蓄を、、
フォッケルの主翼に穴が空いてる件ですが、これはご指摘の通りスロットだと思います。
テーパー翼(翼端に行くに従って先細りの翼)は一般に、翼上面の気流が外流れをし、結果として翼端失速を起こしやすい傾向が有ります。
これは、着陸などで、機首を引き起こして大きな迎角を取ると、突然左右どちらかの主翼の先端から失速が始まり、キリモミ状態になるという恐ろしい事態を招きます。
そこで、隼のように、主翼の先端を若干前方に出して前進翼(隼の場合、前縁が直線で、翼の中心線が前方に斜めになる)として、外流れを防ぐか、零戦のように翼端の部分に行くに従ってわずかに迎角を小さくなるように作るか(ねじり下げ)するような工夫が必要になります。
フィンランドはD-21を蘭印がキャンセルするというドタバタで買った為、おそらく飛ばしてみるまでそんな事は分からなかったのでしょう。
この辺は北欧空戦史にも熟練したパイロットでないと着陸が難しかったという記述がありますね。
で、改善しようにも当のフォッカー社はドイツに占領されて設計変更や改造などのアフターサービスに応じてくれるはずも無く、相当苦労したと思われます。このスロットは苦し紛れの改造というような感じですね。
このように主翼に隙間を空けると、主翼下面の圧力の高い空気が上面に噴出し、大きな迎角を取って剥離しそうになっている上面の気流を再び翼の表面に貼り付けるようにする効果が有ります。
もちろん、揚力は若干ロスをするのですが、着陸間際でいきなりキリモミされるよりはまし、という所でしょう。
後退翼のジェット機はこの傾向はもっと顕著なので、主翼の上面に境界層制御をする為に小さな板を貼り付けたりしているものも有ります。
木製や羽布張りの機体、私が学生時代に乗ったりいじったりしたグライダーみたいで懐かしい感じです。最近のグライダーは炭素繊維などの複合材料なので、雰囲気がまるで違いますけどね。 |