夢中暦200307.20
【2003年7月20日に挙行した「探検隊シリーズ第二弾:富士学校編」の記録です。以後は、田中信夫氏の声でお読みください】
これが陸上自衛隊、最新・最強の装備だ!!
戦車が疾走・榴弾砲が炸裂!最終兵器「ゲキマンジュウ」を食らう!!
。。。静岡県の最東北部、御殿場市と小山町。 1市1町で人口約10万6千のこの地域は、富士山と箱根外輪山の間に広がる緑豊かな高原地帯である。 そして陸上自衛隊やアメリカ海兵隊の演習場や基地が点在する。 その中のひとつに「陸上自衛隊富士学校・富士駐屯地」がある。 毎年各地で行なわれる「駐屯地祭」と同じく、ここでも今年は「開設49周年記念行事」として、7月20日日曜日に大規模な行事が行なわれるという。
このイベントに際して、我々の日常生活では考えられない、また尋常ではない体験をすることになるという、驚くべき情報がマクタロウ氏からもたらされた。 この富士駐屯地には、教育部隊であると同時に精鋭機甲部隊でもある「富士教導団戦車教導隊」が配備されている。 そんな戦車部隊による「非日常的体験」とはどんなものなのだろうか!?
かつて一週間前、千葉県市川市において「伝説のパラダイス:ダイケーエン」(「探検隊シリーズ」第一弾)の謎を暴いた我々取材班が、この情報に腕をこまねいている訳にはいかない。 今回はマクタロウ氏自らが隊長として出動するほか、かさぱのす隊員(元「大慶園編」隊長)・せいもく隊員(「大慶園編」からのベテラン隊員)が再び結集した! そして初の女性隊員:マクノスケ隊員(その知識と経験は今回のメンバーの誰よりも豊富だ)・ちぱ隊員(。。。シロウト。カタギの代表)が参加する計画となった。 しかしミッション当日に不幸にも、マクノスケ隊員が体調不良で脱落。 残念ながら4名となった我々探検隊だが、いま再び未知の世界へと勇敢に踏み入る!
前日からJR三島駅前に宿泊した我々は、早朝、隊長自らの運転するジープで富士学校に向けて出発した。
そして1時間ばかり山間の道路を走ったころだろうか、目的の地「富士学校」がついにその全貌を、我々取材班の前に現した!
探検隊の好奇心をくすぐって止まないモノだらけだ。 砲兵装備に目のない、かさぱのす隊員がまず惹かれたのは 105mm榴弾砲M2A2と、155mm榴弾砲M1A1だ。 米軍から供与されていたそれらは、 第二次大戦中に使用されていたものと同じものだ。 105mm砲はイタレリ社がM1A2型を模型化している。 しかし写真を現像してみると、 ディテール写真しか撮影されていないことに 愕然とした! |
75mm軽榴弾砲M1A1が。 かつてタミヤから なぜか突如としてこの砲のメタルキットが 発売されたことがあったので 「パックハウザー」という知名で 知るひとも多いであろう歩兵砲だ。 8つに分解して搬送することができた。 これもやはり大戦中には米軍装備だったものだ。 |
60式自走無反動砲だ。 お菓子のオマケにまでなってお馴染みの車両であり 日本独自の装備であったにもかかわらず、 いまだプラスティックモデルとして製品化されていない、 かつて普通化(歩兵)部隊の直協として頼もしい存在であった車両だ。 その小さな車体に反比例する、威圧感のある2門の主砲の存在感に、 我々取材班はしばし圧倒されていた。 しかしその警笛(ホーン)の形状に思わず息を飲んだ! KVなどソ連戦車のそれと 酷似しているではないか! |
軽戦車 M24チャーフィー。 戦後まもない1950年代、 まだ自衛隊が「保安隊」と呼ばれていた頃、 米軍から供与された戦車である。 第二次大戦末期に出現した軽戦車だが、 「軽」とは言え、人間を圧倒するに充分な存在感だ。 ふと見ると、キャタピラの履板に2種類あることに気付いた。 両端に孔のあるものとないものを、混ぜて履いている。 さらにその隣に、やはり米軍供与の戦車が続いていたが、 それはM24をはるかに上回る背の高さだった! |
中戦車 M4A3E8シャーマンだ。 通称「イージーエイト」とも呼ばれる、 第二次大戦末期と朝鮮戦争における 76mm戦車砲を装備した 米軍の主力戦車だったものだ。 かつてフィンランドにおいて、 75mm砲装備・VVSSサスペンションのシャーマン と遭遇したことのある かさぱのす隊員も、「中戦車」とは言えこの HVSSサスペンションを持つ 大型砲塔のシャーマンの 背の高さには驚嘆の表情を隠せない! さらに隣の車両も米軍供与だった。 |
M4シャーマン戦車の車体を流用した ARV(Armored Recavary Vehicle)だ。 シャーマンと言えば大戦中に大量に生産され、 今なお世界各国で保存されているとは言え、 日本国内においてこの 古いタイプの転輪ボギーに触れられる機会は貴重だ。 ベースとなっている車体の形式が違うが イタレリ社の模型でもお馴染みの車両である。 と、その時 「あれを見ろっ!」 せいもく隊員が指差すその先に見たものは、 誘導輪径を測る謎の人影! ハタから見れば、自分達もああいう格好をしているのだな、 隊員たちはそう思いながら静かにその様子を見守った。 特にかさぱのす隊員は目に涙さえ浮かべている。 |
在った! 戦後初の国産戦車、 まさに「ニッポンの戦車」 61式戦車だ! せいもく隊員とかさぱのす隊員がよじ登る。 実際に触れてみたそれは、よく言われるように アメリカの戦車と旧日本軍の戦車とを、 まさに足して2で割ったような印象だ。 砲塔上面右舷に位置する車長キューポラ。 すべてが絶妙な三次曲面で構成された、 その異様な形状のデザインに唖然とした! |
荷物を引っ掛けるフックが! 戦車という乗り物は想像を絶するほど揺れると言う。 荷物を手すりに縛り付けるだけではなく、 このフックをさらに装着するのだ。 立派なフェイルセーフシステムである。 こんなディテールを発見できるのが、 実車見学の醍醐味というものだろう。 また、シングル式履帯の末端、 コの字型の履板留めピンの形状も興味深い。 |
美しいまでの曲線を描く 74式戦車が! まさに我々の世代=冷戦時代を守り抜いた そして今も数の上では主力として現役の戦車だ。 しかしその時、隊長が叫んだ! 「せいもく隊員はどこだ!?」 確かにその姿が見えない。隊員たちに緊張が走る! しかし、ほどなくして無事発見された。 なんと先ほどM32を計測していた人物と 話し込んでいたのだ! そしてその人物の正体を知った我々取材班は、 愕然としてその言葉を失った!! ※個人と企業のプライバシーを尊重するため、 この人物の正体・何をしていたか、という情報は伏せさせていただきます。 いずれ公表できる機会がやって来ることでしょう!(^^) |
謎の人物とも別れを告げた我々取材班は 最も奥に置かれていた軽装甲機動車を検分。 「ライトアーマー」 そのネーミングセンスに戸惑いを隠せない探検隊員。 さらにフランスのパナールVBLとの確執を禁じえない そのフォルム。実用性と機動性を追求すると 同じ形状に行き着くということの証明なのだろうか? 車体後部に設置されたベンチレータの 大きな隙間の存在に戦慄を覚えながら我々取材班は 74式戦車の細部写真をついでに撮っておいた。 この戦車の細部の写真は この場所で撮っておいてよかったことが 後ほど明らかとなる! |
次に向かうのは、「総合訓練場」と呼ばれる場所だ。 ここにはすでに戦車隊が待ち受けているという。 そして遂に! 最新鋭主力 90式戦車、 その大部隊が目の前に!! 優に一個大隊、いや一個連隊とも思えるその編成! その圧倒的な光景に愕然とする隊員たち! しかし、沈着冷静な隊長の指示によりベースキャンプを 演習場を見渡せるこの場所に設営、事態に備えた! しかし。。。校長や幹部の長い長い訓示、 地元出身の代議士や老人達の挨拶、祝電。。。 「『ガメラ2』に出て来たの、ココなんだよねー」 と、隊長の言葉に感心するせいもく・かさぱのす両隊員。 しかし、ちぱ隊員はすでに 子供のように飽き始めている!タダをこね始めている! しかしその時、乗員搭乗の指示が!! |
我々のまさに目の前で 一個連隊が一斉に エンジンをかける! 真っ黒い排気と轟音が 恐ろしげな地鳴りと共に会場を包み込む! 腹の底から伝わるその地響きが 文字通り大地を揺るがす! 先に発進する90式戦車の吹き上げる黒煙に 「黒くて前が見えませんよー!」 後続する戦車隊員からそんな声が 聞こえるわけもなく、 車両が続々と来賓席の前を通り抜け、 一旦演習場を出て行く。 |
会場中央にぽつねんと、 92式地雷処理車が一輌停車している。 よもやエンジントラブルか? こんなこともあろうかと待機していた、 90式戦車回収車が指示を待つ! なんと我々取材班の目の前で、 回収作業を始められてしまった! こんな作業風景を目撃できる機会に恵まれるとは! 回収車が後部の油圧サスペンションを下げ トーイング・バーを故障車に接続する。 牽引具の位置に合わせるべく、少しづつ調整しながら サスペンションを下げて行く。 なかなか難しい! |
さらに半個分隊ほどの隊員が ジープ:73式小型トラックで応援に掛け付けてきた。 時間も押し詰まっている。 いよいよ大騒ぎだ!! しばらくして、ようやく接続に成功! 無事に回収され、あっと言う間に去って行った。 晴れの舞台で回収作業。 整備班がこってり絞られるのだろうか。。。 しかし、これだけの車両を 一斉に可動状態にするということは、 実は想像を絶するマンパワーと技術を要することなのだ! 我々探検隊員たちはそのことをよく理解している。 充分によくやってくれたぞ!メゲナイでくれ! そう願わずには居られなかった。。。 |
いよいよ「模擬戦」開始だ。 ちぱ隊員をはじめ一部ギャラリーから 「。。。やっとかよっ」という声が一部で聞こえる。 失礼な発言だ。 とその時! 突如頭上に、 OH-1ヘリコプターが! なんと、頭上にやって来てその風圧を受けるまで その爆音は聞こえなかったのだ! 超低空飛行するその姿は、まさに驚異だ! この国産偵察ヘリの愛称が「ニンジャ」と呼ばれる所以を まさに思い知った瞬間だ! |
当初予定されていた空挺部隊による 落下傘降下は中止となったものの UH-60輸送ヘリが一機飛来、 機内からロープが垂らされるのが見えた。 その時、レインジャー一個分隊が 一気に降下! この斥候部隊と偵察ヘリOH-1が、 「敵」の進攻を確認したという想定だ。 |
オートバイ部隊のカワサキKLX250が奔走する中、 87式偵察警戒車が登場、その35mm機関砲を以って 「敵」歩兵や装甲車をなぎ払う! |
巨大な99式自走155mm榴弾砲「ロングノーズ」が 突如として我々の目の前を通り抜けた! これからが総力群舞だ。 |
もともと欧州の三カ国で共同開発され 国内でライセンス生産されている、この砲の特徴は なんと言っても、自走出来ることである。 その速度は予想以上に、速い。最高時速20km/hだ。 自走して布陣出来るFH70は便利に見えたが、 最終的に配置に就く際は人力だ。 砲架を開く前に、砲身にロープを掛け 回す!! 勇壮な特科(砲兵)隊員の姿に萌える! |
さらに87式砲側弾薬車や82式指揮通信車も進入、 布陣完了だ! 我々取材班は発砲の瞬間に備えた。 ちぱ隊員はすでに必死の形相で、 両手で両耳をしっかり押さえている! しかしぴったり押さえてしまうのは危険だ。 体内と体外の気圧の落差で、発砲の瞬間、 かえって鼓膜を破ってしまう恐れがある! かさぱのす隊員がその注意を促していた、 まさに、その時!! |
何が起きたのかわからない!! 我々もギャラリーも一瞬、声が出ない! 放列の一斉射撃が始まったのだ!! 「バン!」という短く乾いた音ではあるが、 その大きさたるや 誰もがかつて聞いたことのないような巨大な音だ! さらに衝撃波が我々の体を一瞬、強く叩く!! 空砲とわかっているとは言え、 まるで地獄の底へ叩き落とされるような 大音響で周囲を圧倒しながら、 第ニ射・第三射が続く!! |
第四射・第五射が続く!! 一瞬、耳が脳髄の奥へと引っ込みそうになる! 「発射ー!」「撃てー!」 「ファイヤー!」「フォイアー!」「アゴーイ!」 砲兵隊がなんと叫んでいるのか、 もはや機能していない我々の耳には聞こえない! しかし、衝撃波に耐えながらカメラを構えている かさぱのす隊員は、耳を押さえることが出来ない! 大きく口を開けて、なにやら「あ゛ーーー」と言っている。 気がふれたかと思われたが、そうではない。 そうして体内の気圧を高めようとしていたのだ! |
機甲部隊が進入する! 支援砲撃の下、侵攻して来る「敵戦車」を 阻止するというシナリオだ。 指揮通信車の指示を受け布陣する 74式、そして90式戦車。 4輌編成で一個戦車小隊か。 |
発砲の音がやや遅れて我々に届く! もちろんこれら戦車砲も空砲だが、 その衝撃は凄まじい。 ただし予想よりも小さく聞こえる。 我々の耳がすでに、 支援砲撃の音に麻痺していたためだろうか!? |
さらに砲撃続行!! ちぱ隊員のような経験不足の者は 「もういいよー!」「やめてー!」 などと言い出す。始まったら始まったで 止めてくれと言い出す。 しかし、これが一般の民間人として 当然の反応なのかも、知れない! シロウトを連れて来たのは、失敗だったか!? |
各砲には装薬とともに、 青い円筒形のスポンジのような物体が装填されていた。 発砲の際、砲口からなにやら小さな破片が飛び散る。 恐らくその詰め物が飛散しているのだろう。 「状況、終了ー!!」 どうやら「敵」部隊を撃滅、進攻を食い止めたようだ。 緊張の連続だった我々取材班もその場内アナウンスに、 ようやく安堵のため息を漏らした。 |
さらには、模型雑誌「AM」に掲載されていた 自衛隊車両の模型作例の展示に、あっと言わせられた。 旧軍の歴史的展示なども見学した後、 昼食は「ふれあい広場」に展開された各中隊の模擬店で、 我々は「第3中隊の焼きソバ(\200)」を購入。 その売り上げが隊員達のボーナスになるのか、 それはわからない。 文字通り「学園祭」の雰囲気の昼食後は、 先ほどまで模擬戦闘の行なわれていた訓練場で 現役車両の展示と体験試乗だ。 しかしその余りの長蛇の列に、 体験試乗はあきらめざるを得なかった。 |
モデラーの本能、このような 取っ手のハゲチョロだ! せいもく隊員が74式戦車の排気管に近づいた、その時 恐るべき考えを口にした! 「このススを模型に塗ったら。。。。」 。。。確かに。確かにそれ以上の「リアル」はないだろう。 しかしいくら煤カスとは言え、現地から無断で 持ち出す行為は慎むべきかと考えた我々取材班は 「煤汚れが車体にまで及んでいない」 という実態を記憶しておくまでに留めた。 現につい最近もある男が富士演習場に無断侵入、 愚かにも持ち出して売買していた不発弾が 爆発するという事件があったばかりだ! |
独立した排気管を持つ先ほどの74式とは違い、 車体側面に開けられた排気口から出ている この87式偵察警戒車のような車両では 当然の事だが、その車体後部に流れるような汚れが 付着していたことは特筆すべきことだろう。 かさぱのす隊員が指でぬぐってみたが、 そう簡単に落ちるものではなかった。 また、一回の操行でここまで車体が土埃にまみれる ということも注目すべき点であった。 |
この87式偵察警戒車の巨大なホイールを見て呟いた。 「こんなの塗装じゃ再現、ムリだよ。。。」 泥まみれになった大口径のコンバットタイヤ。 タイヤ本体の色の上に泥色を塗るか、 泥色の上からタイヤの色をドライブラシするか。 実際のこの状況を目の当たりにした今、 いずれの方法にしても、 この汚れ方を塗装だけで再現することは まさに「神業」と言えるだろう! |
思わず目を見張るものがあった。 生きている砲の駐退機のシリンダーというものは、 ここまで光り輝くのか! そして87式砲側弾薬車の足回り、つまり 装軌車両の起動輪・履板の歯の部分も ここまで光り輝くのか! まるで、わざわざ切削して磨き上げたかのような 聞きしに勝る、驚くべき輝きだ。 さらに、履板の色に注目したとき、意外なことに気付いた。 泥だらけだが履板の末端部分に「緑色」が残っている。 ロールアウトしたばかりの新品の陸自車両は、 キャタピラまで緑色なのか!? |
その柔らかい土壌に据わる 足回りを見た。キャタピラは大地に ここまでめり込む! 情景模型を作る際の教訓に、 我々はただひたすら感心していた。 とその時、またあることに気付いた! 自衛隊車両は現在、車両ごとにパターンの違う 緑と茶の二色迷彩なのだが、その茶色に 部分的差異がある!! お分かりいただけるだろうか。 なんとこの一輌のMLRSは、操縦席側面の茶色が どうやらタッチアップされたらしく、 部分的に色調が異なっていたのだ! |
車両によって、間違いなく色調の違うものがあった。 その茶色は、あるものはアースブラウン、 またあるものはレッドブラウンだったのだ。 またその迷彩塗装自体、 マスキングを施してから吹きつけた車種と そのまま直接スプレーした車種とがある。 塗装は中隊ごとに一任されているのだろうか? これら一連の写真でも、 その微妙な差異をご覧いただければいいのだが。 「色考証なんて言っても、実際はこんなモンさ」 探検隊の全員が思わず口にした。 これからはもっと、自分のイメージを大事に模型を塗ろう そう自分に言い聞かせながら、撮影を続けていた。 |
最新の主力戦車である90式の細部撮影は厳禁であった。 かさぱのす隊員が74式戦車の、 これまた光り輝く起動輪の歯を接写しようとした、 まさにその時! 「細部撮影はご遠慮願います」 自衛隊員の制止する声が! 就役してもう30年になろうかという、しかし 数の上ではまだまだ主力の74式戦車。 まだ外見に 秘密が隠されているのか!? 特に起動輪周辺に!? 国防の意識を大事にしたい我々取材班は、 素直にその指示に従い細部撮影は行わなかった。 「ふれあい広場」の車両をもっと撮っておくべきだったか。 |
体験試乗の民衆を乗せるために 機関室上面に特設ブースを設けた 戦車隊や89式戦闘装甲車がそばを駈け抜けて行く。 「タンク・デサント」 「戦車随伴歩兵」 そんな単語が思わず、特に意味もなく口を突いて出る。 |
目の前を疾走する90式戦車を 静かに見送る我々探検隊一行。 今回我々が目にした現象、そのどれもが 我々が当初想像していたよりも、壮大だった。 砲撃の大音響の耳鳴りを まだ耳にしながら、我々探検隊は 震えの止まぬ足でこの地を後にする。 |
我々取材班に残された最大の謎。 饅頭である。 その名も 自衛隊オリジナル饅頭 ・・・「撃」! 通り名はさしづめ「撃まん」・・・か。 「特許製法」という記載が大きく見出しされたそれは、 「ふれあい広場」の模擬店で購入したものだ。 「厚生センター(PX=隊内売店)」でも販売されていた。 12個入り、1000円。 一日売り子となった野戦服の自衛官が大きく叫ぶ 「本日の為に、作って参りましたぁー!」 ・・・製造元表示を見ると、「神奈川県大和市」の 某菓子メーカーの名が記されている。 謎だ! また「特許製法」とは、饅頭にプリントされた図柄が 国内産天然素材で独自の製法で仕上げられた ということを指すらしい! 「防」でもなければ「衛」でもない。「撃」というネーミング。 ・・・重大な国家的策略の介在が見え隠れする。 今回のミッションにおいて、我々探検隊を襲った 最強の武器だ! 後にTAC氏に聞くところによると、なんと去年はこれと違って 「薄皮栗まんじゅう」が販売されていたというではないか! |
戦車・戦闘機・自衛艦の3種。 我々取材班はその饅頭を食してみた。 ・・・不味くはない。 なお図柄によって味に違いはなく、 どれも同じ餡であった。「戦車味」など、ない。 余計な装飾や余分な甘さを抑えた、まさに 質実剛健。 ・・・「撃」「GEKI」「ゲキ」 そのネーミングとマーケティングのセンスは、 どこの誰に何を求めようとしているのか? 今回一連の行事に見え隠れした、「自衛隊」という この特殊な組織の民衆への接し方に対し 我々取材班は 強い親近感を感じることとなった。 つまり自衛隊員もまた、 単なる「一日本国民」なのだということの 証しと言えるのではないだろうか? 来年の富士学校は 「第50回開設記念行事」ということで、 さらに大きな催しとなることだろう。 果たしてそこには、どんな饅頭・・・ 否、どんな超常現象が待っているのか!? 我々探検隊の、風を恐れぬ飽くなき挑戦は、続く! |