フォッカーD-XXI戦闘機(FR-110)

(フィンランドでは!)言わずと知れた、冬戦争における救国の名戦闘機!

オランダのフォッカー社開発による試作機は、1936年2月に初飛行。フィンランドはその年の11月には本機7機とライセンス生産権を発注、翌37年10月までに最初の7機の輸入を完了。その後、4つのシリーズに分けて90機のフィンランド国内生産が開始されました。総計97機のフォッカーD-21(通称「ふぉっける」)がフィンランド空軍に就役し、(冬戦争当時と違い、特に速度面でソ連軍機に追いつけなくなった)継続戦争以後は偵察や訓練などでの使用にまわされながらも、1948年まで使用されました(各シリーズ・各機の仕様/詳細は、「フォッケルD-XXI各機の仕様考察」を参照)。全97機を以って、冬戦争から継続戦争を通じて撃墜したソ連軍機、その数187機(うち、冬戦争中の42機(実際はそれ以下)だけで127機撃墜!)。
もともとはオランダが蘭印防空のために開発したものでしたが、その発注が大幅に急遽キャンセルとなったために(オランダ空軍は36機を就役させたに過ぎない)、フィンランドをはじめデンマーク(こちらは2機とライセンス生産×10機)といった「田舎空軍」に、当時最新鋭の構造を持った戦闘機が格安で入手出来ることになったそうです。

中央航空博物館に展示中のFR-110号機は、残念ながらほぼレプリカなのですが、「極めて忠実な復元機」です。スクラップ業者から残骸(胴体)が発見され、翼などを作り直した後、1985年から89年にかけて複数の団体がレストアリング。3機分の残骸を合体させたものであるとも聞きます。




全景。




エンジンカウル。
840馬力のブリストル製マーキュリーVIIエンジン(ブレンヘイム爆撃機のためにやはりライセンス生産していた)が収められています。
(FR-118号機に始まる生産第4シリーズ以降の55機は、プラット&ホィットニー製ツイン・ワスプ・ジュニア・エンジンを載せられた)
またカウル内には、7.7mm機銃2門も収められました。主翼にも各1門づつ。計4門の武装でした。
(第4シリーズ以降(「IV sarja」。そのエンジンから通称「わすぴ」)は、4門すべて翼内に収められた)。




機首下面のラジエーター吸気口。
(どこまでがオリジナルパーツかわかりませんが)無数の小さなリベットが印象的なパーツ。



主脚(左側)。スキー脚。
これは恐らく完全なレプリカだと思われますが、非常によく再現されています。




主翼左側に付いている、ピトー管。
先端は銛状で、その輝きは非常に美しい。




コクピット周辺(左側)。
胴体は波布張りではなく、アルミで覆われています。




主翼(左側)下面、薬莢排出口周辺
(どこまで復元されたものか不明だが、アルミパネルなど、部分的には実機の残骸が残っていたものと思われる)。




主翼(右側)。巨大な着陸灯が印象的
(主翼が木製だったために、「孔を開ける」という作業が苦もなく出来たのだろう→「ふぉっける主翼のスリット/スラット/スロット」参照)。



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