ロング・ヌードル・バー:Wrong Noodle Bar
suomalainen "RAMEN"

2006年ヘルシンキ、カイサニエミKaisaniemi近くの某ファッションビル。
地下にフードコートが広がっており、その中の一店舗が・・・「Wrong Noodle Bar」だった。
(後で触れるが、2008年にはさらにヘルシンキの中心部に移転して、独立店舗を構えている
この店のことは本で知り、興味津々オモシロ半分にやって来てみたのだった。

よくあるフードコートである。目の前に掲げられたメニュー看板を見て選ぶ。
ここにくれば、ヘルシンキでラーメンが食える・・・。
メニューには「RAMEN」と書いてあるので、郷に入らば郷に従え、
巻き舌で「・・・ルらららメン」とアルバイトのお姉ちゃんに注文。

普通、ラーメン屋でラーメンを注文して聞かれることと言えば:
「スープはしょうゆか、みそか?」「麺は硬め、柔らかめ?」
・・・といった類だろう。
・・・ココは違った。
「海老か、チキンか?」
・・・?????!・・・
まったく想定外のことを聞かれて面食らったが、
確かにメニューの「ラメン」の項目下に、
「katkarapu/kana (=shrimp/chicken)」と書いてある。
 番号札を渡され、席に座って待つことしばし。

 出てきたのはまず、いわば「お通し」。
 つ、漬物!?・・・いや、酸っぱくないザウアークラウトだ・・・アラビアのegoシリーズの器で出してくるという、こんなお洒落なラーメン屋は初めてだ!
(ついでに、「ラーメンの先付けに漬物が出て来る店」も初めてだ・・・)
 来た・・・ラメン。
 ・・・海老味。

 汁・・・やたら黒いな(ワシが京都で一番好きな「○福菜館」っぽくていいじゃないか…と思ったが、新○菜館のように「見た目ほど濃くない」というのはあっても、「見た目よりも濃ゅい」というのは初めてだ!)。

 それよりもしかし…ショウユかミソか聞いて欲しかったぞ、ラメン。
 麺は・・・これは・・・ベトナムのフォーのような・・・いやいや、「ラーメン」と思うから色々要らんコトを考えてしまうんである
 これは、「ラメン」なのだ。
 興味半分(怖いモノ見たさ)、ついでに注文した「miso soppa(みそソープ)」。
 日本では決して注文しない取り合わせ:ラーメンと味噌汁。
 耐熱グラスで来たこれは・・・み、みそ汁!? 緑茶に見えるが?!

 持ってきたバイトの姉ちゃんに思わず「こ、これ・・・miso-soup!?!?」と聞いたが、姉ちゃん曰く「jo! miso-soppa.」。 断言されてしまい、返す言葉が無い。

 問題の味の方は・・・「変わった出汁の味噌汁」と思えば味噌汁、「珍しい茶葉の緑茶」と思えば緑茶に思えるという、なんとも言えん汁(!)。 底に溜まっている緑色の味も、「粉末ワカメ」と思えば粉末ワカメ、「お茶っ葉」と思えばお茶っ葉、という摩訶不思議な・・・。
(実際には恐らく店員の間違いだったと思う。もっと研修とマニュアルを徹底しないと、バイトのスオミ姉ちゃんには、味噌汁と緑茶の区別がつかんぞ!)
 ヨメはんは苦虫を噛み潰しながら、それでいて笑いをこらえた…曰く言い難い、いぶかしげな顔をしながら、黙ってラメン(チキン味)を食べている。

 一方、ワタシは嬉々として「こりゃマイッタ・・・あり得ない・・・絶対あり得なーい!」と大笑いしながら食っているのだが・・・隣のテーブル、男女3人のフィンランド人若者がこちらを見てニヤニヤしている・・・。
 本物の日本人が、偽者の日本食を食っている様子がことのほかオカシイらしい(そりゃそーだろ)。
 気付いたワタシが彼らに「どや、美味いか、その・・・ラメン?」と聞くと、「悪くないわ」と言う(えーーー)。

 男子は隣で、なにやら不思議な麺類をフォークで食っている(「麺をすする」文化の無い国の人が食べているので、やたらと不味そうに見える(!))。
 「それは何だ??」と聞くと、「roast chicken noodle」だとか言う・・・ひょっとして・・・『やきそば』のつもり!?
 ヤキソバを見たことのない人が、見よう見真似で再現するとこんな感じになる気がする代物だ。
彼らのうちの一人(「フィンランド人の多くは日本の文化に、ある種、憧れてますネン。特にアニメやゲームは大好きどすネン!」と話す)女子が、「日本のラメンと違うのん?」と英語で聞くので、

「い、いや・・・違う(断じて!)。 しかしこの店はウソついてない。 『WRONG noodle bar』だもの・・・
正しく間違ってるね!correctry wrongだ」

・・・と、答えておいた。

あまりにオカシイので、また次回もこの店を訪ねることを決意した。
(ヨメはんは反対したが)
その後2008年に
『Wrong Noodle Bar』を
性懲りも無く訪ねた
2010.10.23(か)

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