T-54主力戦車(Ps.261)

東欧・中東を主に各国に輸出され、WW2後の紛争とあれば必ずその姿が出て来る(と言っていい)、戦後を代表するソ連製戦車。
フィンランド陸軍では1959年に主力戦車として採用されました()。また一部には、地雷除去装置を取り付けて使用されました。
フィンランド兵達には、「Nikita(にきーた。当然、当時のソ連書記長:フルシチョフに因んで)」の愛称で呼ばれたそうです。
なお、1966年に採用されたT-55(Ps.262)とT-54は酷似していますが(T-55が主に、T-54の520馬力のエンジンを580馬力に強化したモデルであるため)、その最も顕著な識別点のひとつは、砲塔上面ほぼ中央、左寄りにある大きく突出したベンチレータの存在です(T-55にはそれがない)。

フィンランド陸軍は2002年9月、ドイツから124輌の中古レオパルト2A4を(!)新主力戦車として採用することを決定したため、これに伴い、現在主力戦車として保有しているT-54/-55およびT-72M1、合計約250輌は徐々に退役していく模様です(参照→フィンランド国防省発表の記事)。




この車両は各部位をカットされているため(もともと戦車兵の訓練教材)、その内部構造や仕組みがよくわかるものとなっています(ただし乗り込みは不許可)。




砲塔向かって右側前部。主砲:100mm戦車砲D-10Tの砲身基部周辺。




車長ハッチ。
もともとWW2中アメリカからソ連に供与された、後期のM4A2シャーマン戦車の全周囲回転式車長ハッチを参考にデザインされたそうです。




操縦席奥を車体左側から撮影。
ソ連戦車の伝統(!?)、死ぬほど重くて固いと評判の操行レバーやペダルが見えます
(が、それをぶっ叩いて動かすためのハンマーは見えなかった!)。




操縦席側面の隔壁(つまり車体中央の位置)。
固定された7.62mm車体機銃に注意(操縦士が遠隔操作。しかし完全に固定されているため、実際的には威嚇射撃以外の機能しか果たさないものと思われる)。




(前部の)誘導輪と、転輪。
これらもカットされているため(赤で塗られた部分が断面)、その構造がよくわかります。




車体後部、フィンランド軍独自装備の電話ボックスとその受話器(受話器は本邦初公開!?)。車内と車外の連絡を取り合うことができました。
あー、歩兵と絡むダイオラマ作りたい(T-55にも同様の装備があるようなので、タミヤの決定版キットを芬軍仕様で作ってみよう)!




この戦車博物館にはもう1輌、カットされていない状態のT-54が展示されています。
いずれの車両も、独特の緑と黒のツートン迷彩が施されています(1970年代の仕様)。



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