中央の操作員が一人で立つ折り畳み式ステップ(エッチングP7)の位置は、根本的にパーツB10(薄いようなので厚みを増した)の接着位置をインスト指示よりもはるか下方(ステップの踏み板と円形台座がほぼスレスレの位置)にして、その支柱(エッチングP5)は本来は二段階の中折れ式になっているので、そのように見えるよう修正した。 さてワタシが見た実機とキットを比較すると、一部のモールドが上下逆さになっている部分がいくつかある。 いずれも実機では適宜取り外せる部分であったり、レストア時の間違いの可能性もあり一概にキットが間違っているとは言えないが、四つのパーツC1のうち両脇の二つのみインストとは上下逆に接着し(インストの通りの実機写真もあるので、博物館とワタシが間違っているのかも知れない)、パーツB21のメータとメータのちょうど中間にモールドされていた突起物は削ぎとって、位置を上にした。 またフィンランドで追加されたものかどうかは不明だが、給排気口?B8とB24の間に小さな三角板(補強板?)を追加した。 |
そういえばこのキットで一番大事な注意点かも知れないこと!・・・すなわち、円筒形の測距儀は左右二箇所のアーム(パーツB11+C4およびB12+C4)で挟み込んで回転する(仰角・俯角)のが実機の構造で、キットも接着しなければそのように組めるようになっているにも関わらず、インストでは無視されている(それどころか接着する矢印で示されている)。 ワタシはコリコリと可動するように細工してやろうと考えていたのだが、そんなことを考えているうちに接着剤が回り込んでしまったので(!)、慌ててある程度の仰角を持たせて、やむなく固定してしまった。 これから製作される方は気を付けられられたし!(後でフィギュアと絡めたり情景にする方は特に) |
という工作と反省をしてみたものの・・・どうやら実物は「金網」ではなく、「グレーチング(ドイツ軍対空ハーフトラックの荷台のサイドパネルに見られるような「板状の格子」)」であるようだ(おい!!)。(・・・そうか、グレーチングだから、写真では目の詰まった金網に見えたのかー!!) 真鍮メッシュではなく、FァインモールドやHセガワから発売されているフラットなエッチング製メッシュの方がまだ良かったかも知れない。 もっともステップの格子など遅かれ早かれ破損するものなので、戦後も使用し続けたフィンランド人が張り替えた設定で情景にしてしまってもよい(・・・などと勝手な解釈をすると精神衛生上、都合が良ろし?)。 いずれにせよキット付属のメッシュを使わない場合に必要になる「ステップの縁取り」の作成だが、最も必要な道具は・・・「ピタゴラスの三平方の定理」・・・この定理の「相似による証明」を応用するのである! 中心線で区切られたわけでもない中途半端な半円形の成す、本来の直径がわかれば、今度はその半径をセットしたサークル・カッターで、外周の縁取りとなる円を切り出せる(切り出した後、同じ中心軸で外周より1mm小さい円を切れば細い縁取りが取れる)。 与えられた情報は、問題の半円形のa)直線部分の長さは約57.5mm、b)先端同士を接して3個並べると、どうやら完全な円形になるようだ(ステップのインジェクションパーツとエッチングパーツを並べてみるとわかる。これで中央に正三角形が現れる)・・・ということ。 不等辺三角形3辺の長さの比率は、最も長い辺から順に「2」「ルート3」「1」となる。 ときにウチの奥さんは某電子工学部の出身である。 計算するに当たって、「なぜこうなる?」「こうなるものはこうなんだ。なぜわからない」「いや、わからん」「どこがわからない?!」「どこがわからないかが、わからん!」・・・無理問答をした結果的にワタシは、外周を半径約33.2mmの設定で縁取りを切り出すことに成功したのだが、以下にその計算経路を示す: (内項×内項=外項×外項なので↓) 230=2√3X X=115÷√3 X=約66.4 ∴サークル・カッターは、Xの半分=約33.2mmでセットすればよい。QED! ところでパノラマスコープだか水平照準儀?だか(パーツB19)が基部ごと、博物館の本機でもフィンランド軍撮影の写真複数でもなぜか見当たらない。 フィンランドで使用された本機ではその代わりに、なにやら木の棒(電線用の支柱?)を立てるための基部が装着されているようだ(どの写真でも測距儀に隠れて見えない部分なので、プラ材で適当に作った。WェーブのUバーニアってストックしておくとワリと便利ね)。 また算定機の筐体天板(B16)にモールドされている小ハッチ(↑の写真で、筐体右上に見える長方形)は、ヒンジが前後逆になっていて留め金が無視されているので修正したが、さらに実機ではフタとツライチになった透明の窓が付いている。 これも再現しようかと考えたが、果たしてその窓から見えるのが何なのかわからない(!)ので諦めて、凸モールドを削るだけに留めた(スモークを裏から塗装した透明板をハメ込むのもいいかも知れない)。 |
ところで台座(Db6)の前方左右に付けるパーツDb3とDb4は、インストの表記が左右逆になっているようなので注意(合わせてみればわかるパーツなので大きな間違いではないが)。 |
・・・とはいえこの導入時というのが、おりしもドイツ軍車両の標準色がジャーマングレー(シュヴァルツグラウ)からダークイエロー(デュンケルゲルプ)に変わる頃であり(1943年2月以降)、第一線の戦車でもない本機のような機材が、急ぎひと月の間に塗り直された(しかも輸出する機材にわざわざ!)とは考えにくい。 ところがダークイエローに塗られているようにも見える(測距儀はさらに白く見える)、周囲の兵士の服装と比べてもかなり明るく写っている時期のフィンランド軍撮影の写真もあり、今後の検証が必要である(フィンランド軍が明るい塗料で塗り替えたとか、輸入した3台のうち○台はアフリカ向けのカーキイエローだった・・・とかな。あぁイヤラシ)。 |
参考資料: ・対空兵器博物館の有料パンフレット(2007年版)→本機の解説と、終戦直後(?)の写真も1枚 ・ilmatorjuntamuseo-opas(1997年版の同博物館ガイド)→芬国防空の歴史と対空兵器の装備一覧。 ・戦車マガジン1989年2月号→ドイツ軍で使用中の測距儀のアップ写真あり。 ・対空兵器博物館公式サイト(英語版http://www.ilmatorjuntamuseo.fi/eng/index.php) →「fire control system」の章に本機の小さい写真1枚 ・その他インターネットで「Kommandogerät 40」などで検索 |