フォード098T 3tトラックw/木炭エンジン

フォードの3トン・トラック、1940年型。
米国フォードで生産された型式で、フィンランドでは軍民問わず
戦前から最もポピュラーなトラックの一種ですが、
戦時の資源不足に際して木炭ガスで起動する仕様に改造されたものです。
型式の「098T」とはフォード社によると、
「0=1940年/9=3,6リッターV8エンジン/8=モデル/T=トラック」・・・を示すとのこと。
(木炭ガス仕様なので正確には「098TG(G=木炭ガス発生装置)」になるらしい)

以下の写真はスオメンリンナ島内の戦争博物館に展示中のもので、
マキシム四連装対空機関銃を搭載した上、野戦炊事車を牽引している、
ものすごいマニアックな、たまらん状態で展示されています(!)。

この写真は「撮りっきり」で撮影したため(フィルムがなくなったので!)、
たいへん暗くて資料性の損なわれたページで・・・


ということで、2008年に撮り直してきました(~~;)
(とはいえ暗いな・・・根本的にこの博物館、ライティングがいまいち、その・・・)
ICMの1/35キット:ドイツ・フォードのV3000S(G918TS)とは微妙に形態が異なります。
(フロント・ウィンドウが、一枚式のV3000と違って本車は分割式になっていること、
キャビン形状(天井の形)が違うことなど。
もっとも、フィンランドには継続戦時中にV3000もドイツから輸入された)


車両には冬期迷彩が施されています。
フロントグリル前にはエンジンに不完全燃焼ガスを導く、専用のラジエター。


フロントのアップ。(チクショー暗ぇなぁー!フラッシュも光量不足)
ボンネット・サイドに「V8」のモールドがある。
(「グランド・パワー」2011年1月号:寺田氏によるフォードのトラックの解説が大きなヒントになりそう)
ヘッドランプのブラックアウト・カバーにも注目。


ラジエター、というかガス冷却装置を俯瞰から。
密閉式のフタが2つ。


側面下部を車体右側から。
ガス発生器で出した不完全燃焼ガスをエンジンに導く、重要なフィルター。


車体右側面。ゴミ焼却炉が装着されているのではありません。
切り欠いた荷台に食い込む形で装着された、これがガス発生装置(ラジエター)本体。


やや後ろから。


ガス発生装置(ジェネレータ)の上部。フタのディテール。
フタを閉じた時の密閉性を保つために、汚らしい布が(~~;)装着してあるのではないでしょうか。


ジェネレータの銘盤。
1926年にはフォードのフィンランド現地法人(Oy Ford Ab)が設立され、
フォードやフォードソンの車両を輸入販売していたとのことです(今も大手企業)。
組立工場も建てられたので、このトラックもフィンランドで組み立てられた1両なのかも知れません。


ジェネレータの底部。車体の下に這いつくばって。


ちなみにトラックそのもののシャシー後端。
なおこのトラックと博物館については、「グラフィックアクション(新)」にも斎木伸生氏の解説がありました。


コイツが牽引しているフィールドキッチンも見る



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