フィーゼラーFi-156C-1シュトルヒ(ST-112)

STOL(短距離離着陸)性に優れた、言わずと知れた(お菓子のオマケにもなるほどの!)ドイツ製連絡機。
戦後もフランスやチェコで名を変えて生産されていた名機ですが、フィンランド空軍が保有したのは、1939年にドイツより輸入した2機です。
2機にはそれぞれ「ST-112」と「ST-113」の登録記号が振られ、戦時中を通して運用されました。
現在ヴァンターの航空博物館に展示中の機体(以下の写真)は、戦後も1960年まで、国境警備隊の連絡機として使用された「OH-FSA」号機ですが、これは戦時中に「ST-112」の機体番号を振られていた機体です。




俯瞰で全景。




降着装置(車輪)左。
消耗品であるタイヤそのものは、戦時中のものではなさそうです。



機首下面に装着された、殺虫剤噴霧器(夏のラップランドの蚊対策)
。。。ではなく、オイルクーラーに注意
(↑この装置がオイルクーラーであることは、「がらんどうの模型部屋」にて>どんじ氏に教えていただきました。Kiitos!)。
いつ換装されたものか不明ですが、(少なくともワタシの知る限り)他に類を見ない形状のものです。
写真で確認できる戦時中の本機(ST-112)には、ドイツオリジナルの筒型:1本しか付いていません
(ただし国籍マークが「青いラウンデル」に代わってから:1940年代後半に撮られた写真では、すでにこの形状に改造されている)。




機首。
これもいつごろ換装されたのか不明ですが、プロペラは芬国内メーカー:VALMET社製のものになっています
(かわいらしい楕円のロゴマークがプロペラ中央に付いている)。




背伸びして機首の開口部を除くと、エンジンが見えます。
前述の妙なカタチの2列型オイルクーラーに関して、(やはり大先輩飛行機モデラー!)>やーぼ氏からは(あくまでも想像の域を出ないことを前提に):

a) エンジンが違うタイプになった
b) エンジン出力が大きくなって冷却能力が1つでは間に合わなくなった
c) 同じクーラーが無く似たようなもの(手に入るもの)で同じ性能にするため2つにした


。。。と考えられることをご示唆いただきました。Kiitoksia!
戦時中はもちろん、戦後も長く同じ機体や車両を使い続けた芬軍。。。これだから模型考証に行き詰まることしばしば。。。(;;)
なお、オリジナルではArgus As10C-3空冷倒立V8エンジンなのですが、これはやはり換装されてる??




主翼右側下面を仰ぐ。




主翼下面左側。大きな着陸灯と、コクピット側に取り付けられた機体角度のインジケーターに注意。




胴体右側、コクピット周辺。




コクピット内部を(なんとか)覗くと、リベットだらけで意外と男らしいシートが見えました。



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