パイロット訓練用シミュレータ
(計器飛行訓練用リンクトレーナー)


航空博物館に展示中のシミュレータ。
はじめは来館する子ども用の遊具かと思い、10円玉をどこに入れるのか探しましたが(!)、
どうやら実際にこれで訓練していたようです。
何の機種を想定したものかサッパリ謎ですが、こんな知られざる歴史的遺産も展示されています
(で、そんなワケのわからんモンを日本に紹介するのが、本サイトの趣旨でもあり・・・)。

天蓋に頭をぶつけながら乗り込み、
1マルッカ玉を入れるとグルグル回ります(←ウソ)。

実は、「計器飛行訓練用リンクトレーナー」)という装置のようだ。



ヴァンターのみならず、中央航空博物館にも同じものが置いてありました
(ピヨレミルスキの写真を見ていて、偶然に写っていることに気付いた!)。



※「計器飛行訓練用リンクトレーナー」とは(特別講師:「最近ただの豚」氏)

 普通、有視界状態で飛ぶ時は、地平線と自分の機首や横の窓の相対関係を見て自分の姿勢が分かるのですが、雲などに入ってしまうと分からなくなってしまいます。 ちなみに、大抵の人間は平地にいる時は目をつぶっても立っていられるのですが、これは耳の三半規管の働きによるもので、重力(引力)によって地球の中心方向を常に検知しているからです。
 しかし、飛行機のように旋回したりして加速度が前後左右から掛かったりすると、もういけません。
 正確に言うと、飛行機が旋回する時は地平線に対して角度が有る状態なのに自分の体に垂直に加速度が掛かっているので、三半規管に頼ると自分の姿勢が水平であると錯覚してしまうのです。

 飛行機にはジャイロの原理で働く人工水平儀という計器が付いているのですが、これが直径10センチ位の丸い窓に横線が1本入っただけです。(多少色分けしてありますが)
 外が全く見えない状態でこのちっちゃな計器を信じて、自分の三半規管から来る信号を完全に無視して飛ぶのは大変な訓練を要します。(私は昔、資格も装備も無いくせに雲に入ってしまい、えらい目に遭いました。「もうしませんっ、ごめんなさいっ!許してくださいっ」と思った)
 このリンクトレーナーでは外を全く見ないで、計器を見ながら管制官(教官)の無線を聞いたり、空港からの誘導電波(モドキの信号)を頼りに、飛行機を飛ばす訓練をする訳です。 ですから、これはかなり上級のパイロット向けの訓練設備です。
 シミュレータの発達に伴い1970年代にほとんど廃止になったと思いますが、フィンランドにはまだ有るんですねぇ。


(Kiitoksia>最近ただの豚さん!(~~) 見た目があまりに簡素かつ単純そうだったので、「初期訓練用」かと思ったのは大間違いでした! ただしフィンランドの本装置も恐らく「現役を引退」したので、航空関連の「遺跡」として博物館入りしたものと思われます)

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