BT-42突撃砲(Ps.511)−砲塔編

イースタンエクスプレス製、世界初のインジェクション化記念企画!
LKモデルズの砲塔を回顧しつつ、EECをレビューしてみる。
(JSモデルズの砲塔との比較&レビューはすでにIPMSフィンに先越されたので・・・)

EECのパッケージアート(本物の「パッケージアート」が卒倒しそうな箱絵!)については、
当サイトBBS他でも(文字通りに)散々話題になったので(!)、これ以上敢えて言うまい。
「遠近法」なんてどこへやらのこの絵について、敢えて言うなら:
「安野光雅とかエッシャーの絵を見ているような・・・」
「小学生が描いたにしては上手ですな・・・」
とだけコメントを残しておく(!)。
・・・・フィンランド戦車がインジェクション化される時代が来た!泣けてくる!
(キタと思ったら、これが最後・・・他にオリジナル戦車が、無い。一発屋である。そもそも本車も「オリジナル」とは呼べないけど)




 画面手前(右側):LK-models製の砲塔部分。 ロシア製レジンキット。 銀色で、なんだか気持ち悪い感じだが、その当時は最新且つ超レアキットだったんである(思い起こせば20世紀最末期・・・・今の会社に勤め出した頃、その初任給で購入したことを思い出す←初任給でンなもん買うな!)。

 画面奥(左側):薄いグレーのものが、先ごろ一部日本に上陸したEASTERN EXPRESS Co.(以後「EEC」と表記)の砲塔を仮組みしたもの(テープで止めてあるだけ)。
 ロシアの模型雑誌「ポリゴン2001-No.4号」に掲載されていた図面と示し合わせたようにピッタリ合う(示し合わせたのか・・・・)。 面取りもほぼ正確な構成である。 戦車博物館に唯一現存する車輛もこんな感じだ(つまり、「ぶっさいく」である!)。

 一目瞭然、LKの砲塔・・・・大間違いです(←身も蓋もなく!)。 まぁ当時はこんなものしかなかったわけですから(これより前にフェアリー企画やコマンダーズモデルからもレジンキットが発売されていたが、すでに入手困難だった)、「キットが存在しただけ幸せに思え!」的存在となってしまいましたな。



 傾斜した砲塔前面には2つの台形のクラッペがあるのだが、EECの解釈は(位置的にも大きさ的にも)ほぼ間違いない。 LKの(ちっちゃい正方形の)ものは大いに勘違い(照準器(?)の突出部の位置も大いに勘違い)。

 さて、この砲塔前面傾斜部分のパーツは非常に捉えづらい形状をしている。 博物館でもこの部分をどうやって撮影していいか困ったので(砲塔によじ登るほかない!)、ワタシも正確な形状をハッキリとは認識出来ていない。 しかし写真で検証してみると、EECの形状は間違えていない(実車を計測して原型が作られたというJSモデルのものと比べると、「くびれ」が若干小さいような気はする)。

 オリジナルのBT-7砲塔基部を利用したとされる円弧の部分(本当だろうか?円周を計測してデータを比べてみようと計画中)に、LKの砲塔には溶接ラインがモールドされており、EECの方はツンツルテンである。 実車18輌の個体差はあるが、「溶接ラインがある」のが正確。



 俯瞰から。
 LKの砲塔ハッチは閉じた状態でパーツ化されていますが、EECのものは開閉選択式。 内部を作り込んで(内部は見たことないけど)、フィギュアも乗せられます。

 照準器の出っ張りはEECの位置が正解、LKのものは大間違い。 実車をよく見ないで原型をこしらえましたね、LKの原型さん??



 後面。
 やはりEECの砲塔は後部ハッチも開閉選択式なので、内部を作り込んで・・・・・(しつこい。ただし、ハッチ裏側の写真はないわけでもない)。

 LKの方はハッチのヒンジ形状が実車と異なり幅広で・・・・というか、やっぱり実車を取材して作られたものではありませんな。
 というか何にもまして、そのモールドがダレてるのがイヤ〜ん(この修正は面倒くさいぞ)。
 因みにLKの砲塔の幅は広いです(実際の寸法は、現地調査予定。追って加筆予定!)。



 LKの間違った面取りは、どうにも修正の施しようがありません。 シートでも掛けて誤魔化して完成させるのが「成仏」ってもんでしょう・・・・。

 実際のところどういう角度の面取りになっているか、実車をじっくり見てみたいのですが、如何せん撮影が難しい場所なのです・・・・(梯子や脚立でも持ち込まない限り、「戦車の前で思いっきりジャンプする」しかない)。


 EECのキットで問題点を言うなら、a)マズルブレーキの処理(ツンツルテン!)と、b)車体(既発売の同社BT-7そのままの流用)がバリだらけ、というところでしょう。
 a)のマズルブレーキについては、以前現場(戦車博物館と砲兵博物館)で調査した数値を参考までに示しておきますので、修正したい方はパンチ穴のエッチングシートなど用いて工作されることをお勧めします(形状や小孔の開き方については実車写真を参照・・・・なんとか、いい写真を撮って来るつもりです)。 なおマズルブレーキがブレーキたる小孔は、(LKモデルのもののように!)全周囲に開いているものではありません:

  ・全長:299mm(小孔のない部分をも含む)
  ・直径:175mm(外径)
  ・小孔の直径:10mm(内径)

 b)に関しては、すでにBT-7の発売からずいぶん経ちますので、やむを得ないことかも知れません(・・・と言い訳するにしては金型の痛みが速過ぎるような気が・・・・)。



 EECのキットで最も解せないのは、付属デカールです。
 戦時中のマーキング(しかし「明らかに青いハカリスティ」が描かれた車輛の写真は見たことがない・・・)と、戦後のマーキング(戦後しばらくも一応「現役」でしたからねぇ・・・・)は理解できるにしても、ソ連軍が捕獲して使用した(かのような)マーキングは・・・・見たことないです(捕獲したことは事実だが、流石のソ連軍もマーキングを書き換えてまで再使用したとはとても思えない・・・・。「憎たらしい敵メカ」という意味合いを演出したかったのか、国内の「保守派年齢」購買層を意識したマーケティングか、ロシア人!?)。

(工作準備中)
(「砲塔編」とかなんとか言ってる間に組み立ててしまおうと思います)
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