いよいよ「伊豆シャボテン公園」へと向かう! 曲がりくねった山道はさながら、 我々を禁断の地へといざなう大蛇の如しである。 車内には科特隊やショッカーのマーチが響き渡る中、 信じられない言葉の標識が現れた! かつてこんな警告を受けたことなどない我々は、思わず戦慄した! 「クジャクとびだし注意」 「リスザルとびだし注意」 熱くハンドルを握るマクタロウ隊員の手から、冷たい汗が滴り落ちる! |
現地の検問で入念な入管手続きを行う。 大人ひとりにつき、日本円で約1800円が必要だ。 現地の経済状況を考えれば、 それは決して高いとは言えないだろう。 開園以来3634万人 という訪問者の数を、我々は 多いと考えるべきか少ないと考えるべきだろうか。 地図を開いてみると、まずその広大な敷地面積に驚かされる。 我々は早速、「高原竜」−つまり「ヒドラの像」を目指すことにした。 |
我々の目の前を、何かが横切った!! 虹色に輝く、その得もいわれぬ美しい羽根! 「あっ、クジャクだっ!」 なんとここでは本当に、クジャクが飛び出して来る! 謎の生命体と我々探検隊の突然の出現の前に、 道路の向こうを歩いていた原住民も、慌てて逃げる。 我々は、この生物に導かれるように先を進む −のかと思ったがクジャクは、 我々のことなどまるで意に介す様子もなく悠然と歩み去った。 「せっかくなんだから広げなさいよ、その羽根!」 と声を荒げるちぱ隊員。この隊員は最近、文句が多い。 |
「あ、あれはっ!?」 大室山をバックに鎮座するヒドラの像とピラミッド群! まさしく、「ウルトラマン」第20話冒頭そのままの光景が、 いままさに、我々の目の前に広がっていたのだ! 目指す「高原竜の像」は近い! しかしその時、 隊員達が誰ともなく口を開いた! 「お腹減りません!?」 −そう、現地時刻はすでに正午を過ぎ、 午後1時になるところだったのだ。 |
「わくわく大食堂」と読めるそのどうしようもない名称はとりもなおさず、 世界各国の料理を供する食堂が軒を連ねている様子である。 そこで我々は「サボテン・カレー」なる奇っ怪なメニューに注目、 それを供するという食堂に入った。 空いている座席に腰掛け辺りを見渡した次の瞬間、 隊員達は気付いた! 店内の印象はまるで、時間が 1970年代で停止したままだ! 開園以来変わらぬ、典型的な70年代様式の大型建築。 内装や食器のデザイン、観光バスの中高年男女の盛り上がりっぷり。 まるで世の中が「万博ブーム」の最中であるかのような錯覚に陥る! ある意味においては、これは貴重な文化遺産であると、言えよう! |
メニューにはあらゆる国の料理が取り揃えられる中、 我々は全員一致で、謎の「サボテン・カレー」なるものを注文、 そしてずいぶんと待たされた挙句、それは遂に現れた! これこそが、 「サボテン・カレー」だ! 圧倒される隊員たち! なんの変哲もないカレーライスの上に、 これでもかばかりに怪しく散りばめられた青い物体が、ある! 隊長とせいもく隊員はハンバーグをトッピング、 なかがわ隊員はカツ・カレーにしている! |
「すっぱい!」 「あぁー酸っぱ!」 カレーが酸っぱいとは、いったい全体どういうことなのか!? 原住民はいったい、どんなワナを仕掛けたというのか!? カレーの味が決して悪いわけではないことだけは確かだ。 どうやらその原因は、酢漬けにしたサボテンにあるらしい。 この、いわば「サボテンのピクルス」の余りの刺激のために、 「またどうしてもサボテンを食べたいか?」と尋ねられれば その返事に窮してしまう、なんとも絶妙な味だ! 現地では来客を歓迎する証の 友好的なサービスだったのかも知れないが、 結果として我々にサボテンのピクルスは、多すぎた! |
カレーライスを食べただけなのに、 どうしてこんなに疲れなければいけないのか? まるでこのまま、体がサボテンになってしまうかのような悪寒。 そんなことは思い過ごしでよければ良いのだが −と、「仮面ライダー」第96話を見過ぎた隊長は思った。 そして軽くはない足取りで店を後にした我々が、 隣の店の前を通り過ぎようとした次の瞬間、 「シャボテン入りうどん・そば始めました」 始められても困る! ところがさらに隣の店には、 「シャボテン・ラーメン」! どこもかしこもサボテン、いや、シャボテンだらけであることに、 背筋が凍りつく!! |
しかし体がいつサボテンになってしまってもおかしくは、ない。 あろうことかマクノスケ隊員の脚はすでに、 サボテンになっていた! こんなこともあろうかと、施設内では 車椅子が無料で貸し出されている。 人と自然に優しい。 原住民のそんな計らいに感謝しつつも、 亡者ショッカーの「人類総サボテン化計画」の影に、 隊員達の背筋は凍る。 いまこの瞬間にもなにが起ころうと不思議では、ない! その矢先、ジャングルの猿たちが活発に吠える。 |
密林を掻き分けて進む我々探検隊の目の前が、 次の瞬間、突如として黒い巨大な陰に遮られた! 愕然とする探検隊! 遂に、 ヤツがその姿を現わした! これが伝説の高原竜:ヒドラだ!! 「ヒドラが来るよ。大変なことになるよ!」 探検隊、最大の危機! しかし我々探検隊は常に、万全の準備を整えている。 隊長をはじめ隊員達は各自 なにやらそぞろに、防衛体制を準備し始めた! |
隊員たちを襲う!! マクタロウ隊員とマクノスケ隊員が呼んで来たのは ウルトラ警備隊だ! 科学特捜隊ではないことを気にしつつも、 必死でシャッターを切る! この二人は、ことある度に こうしたシャッターチャンスを、 決して逃すことはない! |
科特隊専用銃「なりきりスーパーガン」を抜く! 「今だっ!」 周囲に人通りがなくなったころあいを見計らって、 隊長の命令が飛ぶ! 「撃てーぇ!」 周囲の冷たい視線に必死に耐えつつ、 引き金を引く! 手にしたガンが、ビュビュンとうなる! |
「像」の入口へと向かう。 ヒドラの像は、「シャボテン温室」という名称の看板で カモフラージュされている。 事実、「高原竜ヒドラの像」はかつて ショッカーの怪人サボテグロンのアジトでもあった。 ゴルゴムの地下要塞などでもその姿が確認できる。 ヒドラ撃退直後にケムラーはこの周辺で暴れた。 ダーク破壊部隊のオレンジアントとキカイダーはここで戦い、 黒十字軍の蛇口仮面を追ってゴレンジャーもここへ来た。 気を引き締める思いで潜入する隊員たち! |
「今なら出来そうです!」 なかがわ隊員が、なんのことだかさっぱりわからない そんなことを口走った次の瞬間、 「イーーーッ!!」 我々を出迎えたのは、ショッカー戦闘員! まったく無視して奥地へ進む、ちぱ隊員! 「そりゃないだろぉ!」 隊長も悲しげだ。 戦闘員を軽くイナした我々はついに拓けた空間へ出た。 |
サボテンのジャングルだった! これがサボテンなのかと我が目を疑う進化形態を遂げたものも、ある。 さらに驚くべきは、これらの植物の奇っ怪な名称である。 例えば、 「恐怖閣」! これから我々の身に起こる何かを暗示しているのか!? あらためて自らの精神を研ぎ澄ませる隊員たち! |
そして我々が行き付いた先は、 第2温室「アフリカ館」。 さらに「南アメリカ館」「メキシコ館」へと続く。 いずれも幾種のシャボテンが生育する大陸である。 最後の関門「メキシコ館」を無事に脱することはできるか!? ショッカー・メキシコ支部の暗躍を忘れてはいけない! そして館内へ足を踏み入れた我々探検隊に、 次々と信じられない事態が、起こるっ!! |