戦車博物館(パロラ)
panssarimuseo , Parola



 フィンランドAFVモデラーの聖地:戦車博物館panssarimuseo。 古参の戦マガ読者などは「パローラ戦車博物館」と認知している場合が多いようですが、正式名称はただ単に「戦車博物館」(愛想がない(~~))。 地名を指す「Parola」も、「パローラ」と言っては通じません。 実際の発音は「パロラ(Parola)」です。
 Panssariは「戦車、装甲」、museoは「博物館」の意。 その名が示す通り、装甲化された車両のことならここです。 逆に「装甲化されてないもの」は近年どこかへ移されたり、海外の博物館との交換材料にされてしまったりしているような感じです。 古い戦マガやMG誌には、ここにあった18tハーフトラックとかBA-10M改造クレーン車などが載っている号がありますが、今ではその姿がありません。 →「裏・戦車博物館」で、ずーっとレストアの順番待ちをしているのです!

 最寄のVR(国鉄)の駅としては(ずばり)パロラ駅があるのですが、普段は普通電車(各駅停車)しか止まりません(しかも博物館からは2.0km弱離れた所にある)。 そしてその普通電車は1時間に1本あるかないか(!)という不便なものなので、我々はいつもハメーンリンナHämmeenlinnaまで行ってしまいます(町には軍事博物館(旧「砲兵博物館」)もあるので、その方が便利で都合が良い)。 そしてハメーンリンナ駅前からパロラ方面行きの路線バスに乗ります(2018年夏の時点では駅前が盛大にリニューアル工事中で、バス停の位置も変わりまくっていたので注意)。 パロランヌンミParolannummiの「(そのものズバリ)Panssarimuseo」バス停で下車します。 バス停には名前が書いてあるわけでもなく、道端にバスの絵が描かれた黄色い標識が立ってるだけなので、言われないとそれがはたして本当にバス停なのかどうかさえ疑ってしまいますが(!)、迷彩を施された装甲列車がまさしくそこの丘の上に見えているので、わかると思います。
 また路線バスには、日本のような「♪次は〜○○。戦車博物館へお越しの方は次でお降りください♪」みたいな車内アナウンスは無いので(!)、乗車の際にあらかじめ、運転手さんに「ぱろらんぬんみの、ぱんっさりむせおで降ろしてちょ!」の旨伝えておいた方が確実です。
 ハメーンリンナ駅でタクシーを捕まえて「To Panssarimuseo please!」とやっても良いですが、バスの値段を知ってしまうと乗る気はしません(~~;)(2018年夏には時間の都合でタクシーを使ったが、22.40エウロだった)。 住所で言えば「Parola, Hattulantie 334」です。 ハメーンリンナ市内からパロラへの途中ハッツラHattulaには美しい古〜い教会もあります。 戦車といい古教会といい、知られざる観光スポットと言えるでしょう(!)。

 (実は、帰りのバスがワタシはいつも怖い。1時間に1本は来る「はず」なのだが、うっかり祝日だったりすると、何の告知も無く「午前に乗った路線バスが、午後は運行休止になった」とかいう事態に陥ったこともある。ヒッチハイクを試みたり、近くの民家に助けを求めたことさえある(!)。日の沈まない夏なら(歩ける人は)パロラ駅までえんえん歩いても良い運動になるでしょう。ま、ここに限らず、とにかくフィンランドの田舎はまだまだヌル〜いので要注意!でもそんなココが大好きだ!チキショー)

 博物館は
 ・「屋内展示ホール1(実車と模型と軍装など以外に、カフェと売店併設)」
 ・「屋内展示ホール2(主に戦後のAFV。2000年代後半に増設された)」
 ・「屋外展示場(クラウドファンディングで増改築の資金を募った結果、2018年に立派な屋根が建設された!)」
 ・「エンジン展示ホール(エンジン以外に意外なモノに遭遇することもある)」
 ・「対戦車兵器ホール(主に対戦車砲がズラリ。けっこう珍しいモノが見られる)」
 ・・・という主に4つのセクションに分かれています。 退役軍人などで組織された「戦車協会(Panssarikilta)」なるボランティア団体の運営だそうで、入場料金は大人一般1人:8エウロ(2018年現在)。 ハメーンリンナの軍事博物館の入場料とセットになったチケット(12エウロ。お得!!)もあります。

 (まったく文字通りに!)古今東西の装甲車輛が一同に集まっているこの場所。 戦車(特にフィンランド軍)に思い入れのある人なら充分過ぎるほど、そりゃもーーーお腹いっぱい!になります。
 元突撃砲兵っぽいおじいちゃん(一人でIII突を前に感慨深げにずっと立っており、うっかり話し掛けづらい)とか、若い戦車兵のグループが見学しに来る(戦車部隊の基地に隣接しているので)とかいう程度で、ハッキリ言って「触り放題」「撮り放題」です!←一応触っちゃダメなものにはダメという表示がありますし、隣接の基地施設は立入禁止です! 念の為。

 これまで何度行っても博物館には、チケットもぎり(兼おみやげ売り)のおばちゃんと、カフェのお姉ちゃんぐらいしかスタッフがいなかった・・・というのは2010年代前半ごろまでのお話。 2018年に訪れた際には(白夜の夏の行楽シーズンだったからだろう)、観光客や家族客などで平日でもけっこう賑わっていたり(「賑わう」をどう定義するか難しいけれど)、屋外展示車列に立派な屋根が出来ていたり、館内にWi-Fi環境が整っていたり、立派なホームページが出来ていたり・・・20年前に比べると、ずいぶんと進化したように思います。

開館時間(2018年現在。HPによる):
 5/1〜 9/30→毎日10:00〜18:00 (6月20日〜26日の間の土曜日「夏至際(juhannusの日)」の休館に注意)
10/1〜 4/30→毎日10:00〜15:00 (クリスマスウィークは休館。夏の季節しか開いておらず屋根もなかった昔を思うと、夢のようだ!(~~))

戦車博物館HP(メインは芬語だが、すごいリニューアルされてわかりやすくなった。メニューの「kieli=言語」から英語など選択できる):
http://www.panssarimuseo.fi


おまけ(戦車博物館の周辺観光案内(?)@2015年)

主な収蔵展示物(実車写真集へ)《編集中》

 因みに、前回更新前(2015年以前)までの内容はコチラ


 博物館前のバス停周辺がなんと、ごく小さなスペースながら・・・石畳に舗装されていたことにまず驚いた!(そぅ・・・これまでに帰路で何度か路線バスに裏切られ、いつぞやは極寒の中、ワタシと友人:せいもく氏が数時間立ち往生していた場所(~~;))
 レストアから出てくるモノ、レストアのために下げられるモノ・・・何度訪れても、その度に色んなモノを出したり引っ込めたりしてくるんである・・・だから通ってしまう。
 冬戦争中にフランスから供与されたオチキスの25mm対戦車砲m/34「マリアンネ」なんて約20年ぶりに復帰していた。(以下、2018年夏の撮影)。
 18tハーフトラックのレストアも遅々として・・・否、ゆっくり確実に進んでいる。
 ほれ、それが証拠にフロントグリルが出て来た!(前輪とサスペンションのユニットも実は出て来てる)
  模型展示もハイレベル。 しかもほとんとがフィンランドネタ(!)。 IPMSフィンランドの大会入賞作品や、国内外の模型誌で見たことのある作例も。
 屋外展示場への小道が・・・キレイに舗装された。 柵を兼ねた手すりまで出来てる。
 手前の車両は、よく見ると(試験的にだけ芬陸軍が入手した)BTR-80じゃないか。 この他にも毎回、珍しいモノ出して来るんだぜ、フィンランドさんは。
 前後2段の屋外展示車列に、クラウド・ファンディングで資金が集まった結果、立派な屋根が出来た。
 フィンランド国外からの投資は、日本人がトップだったそうな(そんなにBT-42が好きかっ!○ルパン・ファンがよくがんばった!)。

 ・・・どうりで、ワタシが毎回売店でどれほどお土産を買って帰っても、ここまでの設備投資がムリだったハズだ(~~;)
 まぁその・・・「塹壕まで舗装する」のは如何なものか・・・と思ってしまったのは、ナイショだ。
 これで真冬でも安心して見学できる。
 (・・・が、以前のように「(車両によじ登らずに)丘の上から車両の上部を撮影する」というようなことは難しくなった)
 ついでにISUも塗り直した(ちゃんと色が4BOになってる!)。
 「エンジン展示ホール」で見かける意外なモノって、例えばこーゆーモノ。
 この時は何本かのドラム缶が・・・って、フィンランドに供与されたドイツ軍の200mlドラム缶の色んなバリエーションが5本ばかり並んでいた(蓋のモールドやマーキングは、モデラー必見!)。
 博物館入り口近く、バックヤード方面に通じる道端には、そのまま戦争映画が撮れそうな「破壊された民家のセット」が(可動車両の実働イベントで大活躍だろう)。
 風光明媚で長閑、自然豊かな緑あふれるパロラの町を・・・売店で買い込んだ本やTシャツや空薬莢など土産物を詰めた背嚢を背負い・・・ 真夏の太陽の一向に沈まない、傾きもしない炎天下(この年の夏は30度をゆうに超えた!)、ひたすら駅方面に歩くと・・・(ほぼ真っ直ぐなHattulantie(ハッツラ街道)を1km程度だからそんなにムチャな距離ではない・・・と思うが、過酷)
 ・・・交差点の一角に、目指すレオパルト2A4が!(いつもバスで通り過ぎるだけだったので、かねてから会いに行きたかった)
 をを、コレか、会いたかったぞー! Ps.273-43号車!
 いちおう「現役主力戦車」ですよねぇ・・・こんなトコやあんなトコも撮影させてもらえるんですかっ?!J隊と違って!?
 (・・・と誰かに許可を得ようにも誰もいない。もっとも、「防犯カメラ撮影中」の立て看板はあるので、悪いことはできませんよ←どこで誰が監視してるのかは、謎)
 えっ、レオ2A4の転輪のリムって、こんなバリエーションが1両に混在してんの!?・・・というようなコトが発見できた(実はこの写真の3つの転輪、3つとも外周ゴム側面のモールドが違う!)。
 思えば遠くへ来たもんだ。(というか、やっぱりデカイわ、レオパルト)
 と、道路を渡った反対側を見ると・・・前回まで何も無かった場所に、III突まで出て来た!!
 以前、戦車旅団基地のゲートに置かれていたPs.531-21号車だった。
 「レオパルト・シュトゥルミ交差点」からさらに5-600mほど?北上すると、パロラ駅。 地元の利用客も、電車が来る直前でないと誰も来ない。 「秘境駅か」と独り言を大きな声で言っても誰も聞いてない。
 (ヘルシンキ近郊ローカル線の)R系統=R-junaが、相変わらず1時間に1本停まるか停まらないかのパロラ駅だが、上下線とも意外と遅くまで来るには来る。
 (戦車博物館が閉館してからでも一応電車はある。今では、路線バスに裏切られた時も駅まで歩けばなんとかなりそうだ)
 駅前に民家以外なんっっっにもない(喫茶店もない)パロラ駅から、さらに数百m歩いたところにあった戦車博物館への標識。 車ならほぼまっすぐ「1.5km」ってウソじゃないだろうけど・・・歩くのは健脚自慢の方にしかオススメしない。
 (水を求めて、涼を求めて、この標識からさらに数百m歩くと、突然でかいスーパーが・・・2軒並んでいる!もっと分散しろよっ!)
 大発見。 暑い夏の「足湯」ならぬ「足炭酸水」。
 2軒並ぶスーパーの「S」と「K」どっちで買っても良いが(概して「S」の方が商品が安い)、駅に誰もいないことを良いことに、靴を脱ぎ、靴下も脱ぎ、飲み残した炭酸水を裸足にぶちまけると気持ちが良い!空気は乾燥しているのでシュワーーーとキて、どんどん揮発する。生き返った!
 もうポータブル端末が当たり前の時代になってるんだから、駅の時刻表は事前にチェックしておこうな・・・。(とはいえ「何もないトコロで何もしない贅沢」が出来る素晴らしいタイミングが出来た・・・1時間半以上(!))

 (因みに「レオパルト・シュトゥルミ交差点」から続く、画面奥に見える高架道路から駅のホームへは、階段からダイレクトに降りることが出来る。ヘルシンキ方面ホームとタンペレ方面ホームそれぞれ別の階段でしか繋がっていないが、高架道路側にその案内表示が無いので注意!そのうえ、格子状の鋼材(グレーチング)で組んだだけの階段が地面まで筒抜けで、高所恐怖症の人にはタマラナイだろうから注意!)


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