歩兵博物館(ミッケリ市内)
Jalkaväkimuseo , Mikkeli



 1982年に開館した歩兵とその装備の博物館。 ミッケリ駅から徒歩10分強というところでしょうか。 所在地で言うと「Jaakarinkatu 6-8」(通りの名前がその名も「猟兵通り」。「ヤーカリ」は「jaeger」のフィン語)。 19世紀以来の兵舎を改装した建物が立ち並んでいますが、博物館もそんな建物のひとつです。 博物館の前にはコムソモレツ・トラクターとPaK97/38、PaK40が置いてあるので、目印になってわかりやすいでしょう(?)。

 フィンランド独立から現在に至るまでの歩兵とその装備の紹介があるのですが、重点を置いているのはやはり第二次大戦期です。 1944年夏の「タリ=イハンタラの戦」を巨大ジオラマで解説したディプレイもあり、近隣の陸軍基地の教育施設にもなっているようです。

 フィンランド陸軍歩兵の歴史がこの博物館で軽く網羅することが出来ます。 各種火砲や装備、前線の様子を等身大で再現した塹壕のセットなどを見て体感することが出来ます。

 なおここにはミュージアムショップなんて洒落たものはありませんが、入口の受付カウンター前では、書籍や古書(基本的に「読み物」が多いのがツラいところ)や、歩兵用ベルトのバックルやバッジといったお土産も買うことができます(アイテムの種類は少ないものの、少しでも運営資金の足しになれば良いと思う)。
 入館料大人1人8ユーロ(2015年現在)。

開館時間(2015年の場合):
5月2日〜9月15日:毎日→11:00〜18:00(5/1のvappuの日は休む!)
9月16日〜4月30日:水曜日〜日曜日→11:00〜16:00(クリスマス前から年末も休館のようです)

戦争博物館公式HP(「exibition rooms」については英語頁もあり)
http://www.jalkavakimuseo.fi/index.php/fi/


主な収蔵展示物(実車写真集へ)


 駅からそこそこ歩かねばならないうえに、博物館は少し奥まった場所にあるので、うっかりしてると通り過ぎてしまうかも知れない。
 奥にPaK97/38を牽引するコムソモレツ・トラクターが見えるのが目印!(最近はgoogleのストリートビューでも確認できるので、訪問される方はご覧になると良い)(以下、すべて2015年秋の撮影)
 まさに「兵舎」そのものの館内。
 軍装や小銃、機関銃、対戦車兵器の展示はもちろんだが、忘れてならない飯炊き車も、歩兵部隊の重要な装備として展示してある(当然のように!)。
 1944年6月のソ連軍大攻勢のひとつ、「タリ=イハンタラの戦」の一部を再現。 ここではトゥーロス〜イハンタラ間の戦闘を再現している(ハメーンリンナ郊外のトゥーロスは現在、ハンッシン・ユッカ号安住の地としてお馴染み(?))。
 スイッチを押せば、戦闘のあった場所がランプで光るようになっているので、どの位置でどんな規模の対ソ連戦車戦闘があったのかなどが、手に取るように理解できる。
 最前線の歩兵の生活スタイルはもちろん、軽火器から重火器まで、歩兵火器の数々が展示されている。
 野砲や対戦車砲の展示も意外と充実している他、歩兵の対戦車戦闘で大活躍した武器:火炎瓶や「カサパノス」、ドイツから供与された「パンッサリニュルッキ(=パンツァーファウスト)」も各種展示。
 部屋の隅っこに「ブービー・トラップ」が・・・!(野っ原に「食料品の入った箱」が置いてあったからと言って・・・慌てて持って行こうするとドカン!とか、ワイヤーが引っ掛かってドカン!とか・・・)
 そんな歩兵教本に書いてあるような(実際、戦時中に用いられた)戦法の展示もある。
 ところでミッケリといえば、フィンランドの「旧大本営」の街でもある。
 歩兵博物館とは距離があり、時間の都合で入館しなかったが、この建物がマンネルヘイム元帥も出入りした「旧司令部」。 「Päämajamuseo(司令部博物館)」という。
 司令部博物館の近くの、この岩山・・・実は、「LOKKI(岩)」と愛称された地下司令部になっている。 予約制でガイドさんが案内してくれるらしい。
 ま、ガイドさんがいないと、かなり怖そうな雰囲気はある(~ヘ~)
 駅から歩兵博物館への途中、こんな遺跡(?)があったが、どう見ても防空壕。 大本営のあった重要な街だったことを印象付けられる。
 ミッケリ駅前にはマンネルヘイム元帥が使用した列車の客車が(ほとんど何気なく)展示されている。 1944年にヒトラーと会談した(せざるを得なかった)、実は歴史的な車両である。
  駅舎自体の内装もほぼ古いまま変わっていないようで、往時を偲ばせる。
 駅前公園にはマンネルヘイム元帥像が建っている。 近隣には元帥も目にしたことであろう教会や公園が点在し、戦没者慰霊碑もある。


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