対空部隊の探照灯と電源車

レーダー出現以前は聴音機とセットで防空に活躍していた投光機。
車両や航空機、火砲の例に漏れず、こうした周辺機材もフィンランドでは、
外国産・国産ともに古今東西のものを装備していました。




ティッカコスキの中央航空博物館は、航空機のみならず防空機材の展示も充実。
例えば戦時中にドイツから輸入した150cm探照灯(Flakscheinwerfer 34)。



正面から向かって左側。
レーダーが活躍する以前は、聴音機とセットで運用されていた。



向かって右側。
フィンランド側名称は「150cm:n hakuvalonheitin m/42(150cm重投光器42年型)」。



同博物館の裏にあった、別の探照灯。
フィンランド国産の210cm探照灯m/41。



本体裏側中央の銘盤。メーカーはSTRÖMBERG Oy。
19世紀末にスウェーデン系ストロンベリさんがヘルシンキで創業した、
発電機やモーターなどを作るメーカーだが、このような投光機や聴音機も製造していたらしい。



こちらは対空兵器博物館の裏庭の風景。上と同じ探照灯があった。
前時代の聴音機(ベルギー製)や、その逆に近年まで使われていた電源車などもある。



こちらはヴァンターの航空博物館に置かれていたドイツ製150cm探照灯。
先の中央空博とは違い、こちらは台車(Sd.Anh.104)に載せられている。



左側。赤い反射板は、フィンランドで戦後に追加された装備。



撮影時期が違うが、右側。
(見かける度に座席やサスペンションなどのディテールを撮っていたが・・・ワタシは何をしたいんだろう)



探照灯に当然必要不可欠なのが、発電機を積んだ電源車である。



台車がSd.Anh.104のようなので、ドイツ製だろう。
(上とはまた撮影時期が違う。裏の草むらから表へ出てきた!)



フィンランド各地で古今様々な電源車が見られた。
数ある特殊車両の中でも「電源車がイチバン好きだ!」という人には、たまらん。
(そんな人いるんか?)



年を変えるとこれまた草むらから表へ出されていた(!)。
番号の振られていない41年型Sd.Anh.(1500kg積載用)から判断するにドイツ製。



そして、特にこの個体で注目したのは
モデラーにはお馴染みのアレ、弁当箱のようなドイツ軍のテールライト・・・
NOTEK製の車間表示灯、ドイツ軍で正式には
「Nachtmarschgerät(直訳すると「夜間行進装置」)」と呼ぶらしい。



緑色だと言われていたが・・・汚れて劣化していたが、光ってない時の色は・・・
暗い暗いブラックグリーン!

中央で半分づつ覆うカバーを上げ下げして、夜間の灯火管制時と平時の行軍時とで使い分けるらしい。
灯火管制時モードの上側には、幅の違う緑色の四角い窓が4つ並んでおり
これを後続車から見ると、前車との間隔がおおよそ把握できる。
(車間が300mで1個(離れすぎ)、35mでランプが2個(適切)、25mで4個(近すぎ!)・・・に見えるという)
カバーに開いた小穴から、この状態(灯火管制時)でも前車のブレーキランプがわかるようになっている。



赤いと言われていたが・・・汚れて劣化していたが、光ってない時は・・・
暗い暗い赤黒い!

思わずカバーを上げて確認してしまったが・・・これが平時モード(上下各々両側の金具にパチンと固定)。
左が尾灯(赤)、右がブレーキランプ(オレンジ)だそうだが、状態が悪いせいか色を区別できなかった。
(この個体を見た経験だけでは、特に夜間を再現する意図でもない限り、
1/35の模型では厳密に色分けする必要がないように感じたが、
ドイツ版Wikipedia「NOTEK」の項に、非常に状態の良い本装置の写真があった)

ね?・・・電源車ってオモシロイでしょ(・・・ってそんなに電源車好きだったか>オレ?!)


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